第162回通常国会 予算委員会 2005年02月18日

○甘利委員長 これにて中山君の質疑は終了いたしました。

 次に、大谷信盛君。

○大谷委員 民主党・無所属クラブの大谷信盛でございます。外交の課題について御質問をさせていただきます。

 特にテーマは、ソフトパワー、パブリックディプロマシーと言われるような概念の中で、どのような取り組みをしているのか。二つ目が、今、少し私にとっては唐突に感じておりますが、東アジア共同体というような言葉が今回総理の所信表明演説でも使われましたが、いかがなもので、何を国益として何をどうやって守ろうとしているのかということ。そして三つ目が、FTA、EPAの課題の中で、今二つ目のメキシコとの条約が終わって、三つ目はフィリピンとのFTA、EPAになるのかなというふうに思っておりますが、進捗状況というより、どのような戦略、どのような中長期ビジョンを描いて今取り組みをされているのか、各省庁との連携はうまいこといっているのか、そのような観点から質問をさせていただきたいというふうに思っております。

 今さら私からソフトパワーの概念を云々かんぬん言う気はございませんが、大臣にお聞きしますが、今、外務省の中でどのような重要度でもってソフトパワーの拡大、特に科学技術や文化芸術それから理念、哲学というような分野が挙げられると思いますけれども、特に文化を戦略的に発信していくというような観点から、どのような取り組みをされているのか、全般的なものからまず教えていただきたいというふうに思います。

○町村国務大臣 大谷委員にお答え申し上げます。

 ソフトパワーという言葉自身は、ジョセフ・ナイ教授が使われたということですっかり有名になった言葉かと思います。日本の外務省用語でいいますと文化交流というようなことで、外務省設置法を見ましても四つの柱がある。安全保障、対外経済関係、経済協力そして文化交流、この四本柱の一つが文化交流、法律上の位置づけはそういうことになっているわけでございます。

 そういうことはさておきましても、やはり今これだけグローバル化が進み、また情報化社会がどんどん進むという中にあって、昔は外交というともう単純に国対国、政府対政府という非常にシンプルな姿であった、今は政府対市民あるいは市民対市民というような交流というものがどんどんふえている、これはもう極めて自然の流れであろうと思います。

 そういう中にあって、日本というものの理解を深める、日本のすばらしさを知ってもらう、日本の国の持つ広い意味のソフトパワーというものを諸外国に伝えることによりまして、やはり日本というのはいい国だ、信頼できる国だ、こういう国と一緒にいろいろ仕事をしてみたいという日本のトータルのイメージを向上させていくということは、私は、これからますます今まで以上に非常に重要な外交の課題になってくるだろう、こう思っております。

 そういう意味で、私ども、この後御指摘をいただくんでしょうが、十分であるかどうか、いろいろ反省もしておりますけれども、今後大いに力を入れていかなければならない分野である、こういう位置づけで取り組み始めている、取り組んでいるところでございます。

○大谷委員 四つのこれからの日本外交の柱の中の一本であるということの答弁でございましたが、そんな中、では、中長期的に日本のファンをふやしていって一般的外交目的を達成しやすくするとともに、特定の外交目的を達成しやすくしていくという相互関係にあるんだというふうに思いますが、どんな手段を用いて、どんな目的を果たそうとしているのか。

 例えば、イギリスやフランス、ドイツなんかを見てみますと、フランスなんかは、多様な文化を保障せよというような言葉を使って、自国のフランス語というものが世界に普及するような方法をとっている。また、ドイツなんかは、留学生を多くふやすことによってドイツ語というものを十分これからも国際語として使っていける、そんな意図を持って目的を設定し、最適な手段、すなわちは目標を達成するにおいて非常に効果的な手段を選び抜いた上で実行している、そんな戦略性を感じるんですが、我が国においてはいかがなものなんでしょうか、町村外務大臣。

○町村国務大臣 どういうソフトパワーが日本にあるんだろうか、これはみずから言わなきゃいけないんですが、たまたま今ジョセフ・ナイ教授の話をしてしまったものですから、彼の分析によりますと、アメリカに次ぐソフトパワーの保持者は欧州と日本である、やはりアメリカが一番だ、こう言っているんですね。

 日本の場合はというと、アジアの中で圧倒的なソフトパワーを有する。特許の数世界一、RアンドDの対GDP比第三位、航空機による旅行第三位、書籍、音楽販売第二位、インターネット第二位、ハイテク輸出第二位、開発援助額第一位、最近はちょっとこれが二位になっていますが、長寿が一位。経済困難にもかかわらず文化の魅力で世界に名をはせている、大江健三郎、村上春樹、黒澤明、禅などの精神文化と。外国の方から見ると、そういうあたりが日本のいわば文化的な力ということになっているんだろうと思います。

 これは私は別に否定すべくもないし、どうも日本の文化というと伝統文化に目が行きます。これはこれでもちろんあるんですが、昨今は、ちょっと出ておりましたアニメであるとかポップアートでありますとか、あるいはバレエといったような舞台芸術、それぞれで世界に冠たるアーティストがあらわれているというようなことなんだろうと思います。そういう意味では、なかなかこの分野に絞ってということにはなっていないのかなと思います。したがって、幅広くやっていこうと。

 それからもう一つは、文化そのものに対する政府と民間の役割分担の違いというんでしょうか、それがやはり国によって大分違いがある。ヨーロッパはかなり国を挙げて文化を振興する。丸抱えというと言い過ぎですが、非常に国が文化の面でお金を出す。これは対外発信のみならず、国内的にもそうだと思います。逆にアメリカは、文化の面のいろいろな支出というものは余り官が口を出すべき分野ではない、基本的にそれは民が全部やるべきだ、どちらかというと、よりコマーシャライズされた形での文化というものにある。日本はいわばその中間にあるのかな、こういう感じがしております。

 したがって、私どもは、そういう中にあって、全部丸抱えというわけでもない、全部民間に任せるわけでもない、やはりそのベストミックスというものを考えながらやっていくというのが物の考え方かなと思います。

 先ほどお話の出たイギリスあるいはフランス、特に私も、十年ほど前、議員になってしばらくしてからですが、フランスのアリアンスフランセーズという本部に、実はパリで行ったことがあるんです。百年以上の歴史を持つ、一八八〇年代にできて、それはやはりフランスの文化、なかんずくフランスの言語を世界じゅうに広めようという目的を持って、物すごく数多く、ほぼすべての国に、アリアンスフランセーズの支部といいましょうか、現地化している法人もあるんでしょうが、そういうものでやっていく。これは明らかに、フランスのパワーの源は文化にあるということを明確に意識して、もう百年以上前からそういう活動をしている。

 大変なものだと思って私は感心をした記憶がありますが、なかなか日本の場合は、そういう意味で、どこのということを特定するのは難しいんですが、いろいろな分野で日本のよさというものを知ってもらおう、そういう活動を今やっているということかなと思います。

○大谷委員 何を目的にというのには明確なお答えをいただけなかったんですけれども、ですからほかに例を出しますと、イギリスだとこんな言い方をしているんですよね。伝統と革新の両面を持った信頼できる国が英国なんだ、この一文をしっかりと諸外国の市民の皆さんに理解してもらうために努力をするというような、ちゃんと明文化された戦略というのがあるんですよ。

 ですので、そういうものがあるのかないのか、戦略があるのかないのかというのを一つお答えいただきたいのと、私の尊敬いたしますジョセフ・ナイ先生の文言が出てまいりましたので、一つだけ言わせていただいて、これも質問させていただきたいんですけれども、ジョセフ・ナイ先生はたしかこう結んでいるはずなんですよ。日本にはソフトパワーがある、しかしながら、そのソフトパワーを外交力として使っていくためには、アジア、特に中国等との歴史問題認識というものをしっかりとクリアして、信頼熟成をしていかなかったら、発揮できないよと言っているんですけれども、この信頼熟成、歴史問題認識も含めて、戦略に絡んでどう考えているのか、お答えいただけたらというふうに思います。

○町村国務大臣 今言われました戦略があるのかないのか、十分練り上げられた戦略を持って今やっているというほど私は正直言って自信があるわけではございません。もっともっと練り上げ、検証をし、しっかり組み立てていかなければならないテーマであろうな、こう思っております。

 そんなこともあって、今、これは去年の十一月でしたでしょうか、総理のもとに一つの懇談会をつくりまして、そこでそうした国際文化交流のあり方についての、急にこの戦略が素早く直ちにできるとも思いません、そういう方々の、有識者の方々の御議論もいただきながら、その辺を練り上げていこうと。ただ、文化外交の目標というものは、先ほど委員もちょっと言われましたように、日本が諸外国の国民からより関心を持たれ理解をされ、そして信頼をされ尊敬されることによって、日本にとってよりよい外交環境をつくっていくということであろうか、こう思っております。

 先ほど、ジョセフ・ナイ教授の日本のソフトパワーの限界ということで、確かに戦争の総括ができていないことという指摘があるのを私も資料で見ております。そのほかに、高齢化が急速に進んでいること、あるいは移民の制限があるということ、日本語というものがやはり難しくて、これがどうしても壁になってしまう、あるいは英語が余り上手でないといったようなことなどもあって、これらが日本のソフトパワー発揮の限界になっているなという御指摘がございます。

 戦争の総括ができているのかいないのか。日中韓でいまだにこうした議論があるということはよく承知の上での先生のお尋ねだろうと思います。私は、日本の中で、少なくとも法律的には戦争の総括というのはできていると思うのでありますが、それが諸外国、なかんずく、やはり戦争の被害を受けた国々との間で十分な理解に達するような総括ができているのか、これはなかなか難しいところがあろうかと思います。

 ただ、この歴史認識を、では国際的に、特に外国との間で統一したものが持てるのだろうか、率直に言って、これはなかなか難しいことがあろうかと思うんです。一つの事象を見ても、国内でも歴史の事象について共通の理解を得るということが難しいのは、洋の東西を問わずでございますから、これはなかなか容易ではないなと思います。ただ、現実にそれが日本のソフトパワーの限界になっている、その一つの要因であるということは、これはもう否定すべくもない事実だろう、私もそう思っております。

○大谷委員 十分な説明なく我が国の総理が特定の神社に参拝に行くとかというようなことが、きっと説明がちゃんとできればまた変わってくるというふうに思うんですけれども、そんなふだんの政治の活動の中でしっかりと説明をしていくことがまず大事なのかなというふうに思っています。

 それで、戦略の話に戻りますけれども、これは日本の国際交流基金、ジャパンファウンデーションから出ているんですけれども「イギリスにおけるパブリックディプロマシー」、すなわちイギリスがどうやってソフトパワーを高めているかというのを見ますと、戦略という概念が西欧諸国には強いのかもしれませんけれども、しっかり出ているんですよね。

 ブリティッシュカウンシル、日本でいうところのジャパンファウンデーションに該当するような団体だというふうに思いますけれども、はっきり二〇〇五年の戦略とあって、若年層を中心にしていきますよ、イギリスが好意的な印象を受けるために、特に専門職や大学院の方々、将来的には政策意思決定過程の意思決定者になるような予備軍の方々をねらって、イギリスのいいイメージを発信していきますよ、そこぐらいまで書いてあるわけですよね。ぜひともそういう戦略性を持った行政というか政策をつくり、施行していただきたいというふうに思っております。

 四つの柱の一つがソフトパワー、これから文化を中心とする日本の魅力発展だという話がありましたけれども、一体予算というのはどれぐらい使っているのかというので見てみますと、来年度、全部で、広報文化交流部全体で二百八十四億円なんですよ。うち、ジャパンファウンデーション、イギリスでいうところのブリティッシュカウンシルみたいな役割を果たしているところに百三十七億円行く。四八%、半分ぐらいがその交流基金に行くということになっているんですね。

 さて、これが適当か、多いか少ないかという問題なんですけれども、その議論を論じる前に、大臣、このソフトパワー、特に文化交流外交をつかさどる外務省の中の広報文化交流部というのがいつできたか御存じですか。

○町村国務大臣 外務省改革の一環で、昨年の八月に組織がえをしたところでございます。

○大谷委員 結構驚きませんか。四つの柱の一つだと言っていて、去年の八月にやっとできたというのが私の印象でございます。

 では、今まで何もやっていなかったのかといったら、やっていないことはないというふうに思います。ただ、言いたいことは、大事だ大事だと言っておきながら、なかなかその組織や人材を上手に活用するだとかということができていないんじゃないのかなという印象を強く受けます。多分、このソフトパワーにかかわるところだけではなくして、ほかの部署でもそうじゃないかなというふうに思っています。大臣におかれましては、これからしっかりと人材を求められる部署をつくって活用していく、そんな臨機応変な改革もぜひともしていただきたいというふうに思っております。

 それで、予算に入るんですけれども、この二百八十四億円、多いか少ないか。ほかのヨーロッパ先進国を調べて、のぞいてみますと、大体半分から三分の一なんですよ、日本が。イギリスですと大体七百十三億円。それから、フランスですと千二百億円ぐらい、これはちょっとかぶっているところもありますけれども。それから、ドイツですと大体六百五十四億円。まさに日本の二倍、三倍弱というお金をこの広報文化交流ということに使っているわけなんですよね。

 それで、ここで僕は驚いたんですけれども、イギリス、フランス、ドイツ、みんな、過去、去年、おととしと見ますと、どんどん予算が上がっているわけなんですよ。例えばイギリスですと、去年が大体八百七十七億円ぐらいあったんですね。これがどんと下がったり上がったりしているのは、ブリティッシュカウンシルの分担金等々という問題があるんですけれども、大体ブリティッシュカウンシルで年間三%ぐらいイギリスでは上がっている。

 我が国の場合は、今見てみますと、去年が三百三億円、二〇〇一年が三百三十四億円なんですよ。すなわち、四つの柱の一つだ、大事だと言いながら、予算的に見ると下がってきているんですよ。確かに、財政改革の中、それなりに予算を削っていかなきゃいけないんでしょうけれども、四つの柱の一つだと言っていて、これが減っているようじゃ、まさに言っていることとやっていることが全然違うんじゃないですかという指摘ができると思うんですけれども、その辺をどのようにお受けとめいただいているんでしょうか。

○町村国務大臣 先ほど、昨年八月に発足したのは広報文化交流部でございますが、それ以前は文化交流部という形でずっとやっておりましたので、新たに文化交流を昨年の八月から始めたというわけではございませんので、それは念のために申し上げておきます。

 予算の面、確かにこれは、後ろに座っておられる谷垣大臣を前にして、はっきり申し上げれば、それは日本の財政にもうちょっとゆとりがあれば、文化に理解の深い谷垣大臣が、さらに寛大なるお気持ちでこの国際文化交流予算をきっとふやしていただけたんだろう、こう思いますが、今の、現下の日本の置かれた状況の中では、私ども、これで最大限のものなんだろうと思っております。

 それは、多々ますます弁ずという思いは非常に強うございますし、特にこの国際交流基金、非常に重要な活動をやっております。昔、小さくともきらりと光るという表現をされた議員もいらっしゃいましたが、国際交流基金、私は、小さくともきらりと光る、非常に意味のある活動をやっている。本当にもっと予算を、ブリティッシュカウンシルであるとかアリアンスフランセーズといったもののようにふやしていきたいという思いはやまやまあるわけでございますが、日本全体の財政のこともやはり少しは考えないといけないということでこういう姿になっております。

 今後、限られた予算ではございますが、できる限りこれをふやしていくような努力をしていきたいなと思っているところであります。

○大谷委員 谷垣財務大臣、量の問題じゃなくて質の問題ですから、これから求められるところに多く負担をしていくという、効率的というのか、質を高めるような予算配分を外務省がしていくならば、ぜひともしっかりとそのとおりだなと精査していただけたらというふうに思いますし、そんな四つの柱なんですから、これはぜひともこれからふやしていかないといけないというふうに僕は思っていますので、そこのところをこれから、来年、再来年、国会議員をさせていただいている限り、しっかりと検証していきたいというふうに思っています。

 それともう一つ、今回この調べ物をさせていただいて驚いたのは、とにかくアジアが日本をどう思っているのか、対日意識、認知度、好感度というのは、当然ながら、これからソフトパワー、パブリックディプロマシーをやっていく上で必要な数値、座標となりますよね。ですから、過去五年、十年、過去二十年のアジア、国でいうならば、タイ、マレーシア、ベトナム、カンボジアは当時、十年前には多分世論調査なんかできなかったでしょうから、その東南アジアの重立った国々の対日意識の流れを調べたいので資料をいただけますかと言ったら、なかったんですよ。毎年定期的に調べているのはアメリカだけで、アジアの国々を定期的に調べている世論調査というのはなかったんですよ。私は、四つの柱だとかアジアはこれから大事だとか言っておきながら、やっていることとお金の使い方が全然違うじゃないかというふうに驚きました。

 今、直近のものでいうならば、平成十四年十一月に外務省海外広報課が出したASEAN諸国における対日世論調査というのがあります。これを見ると、本当におもしろい数値がいっぱい載っています。しかしながら、世論調査というのは、御存じのとおりスナップ写真なんですよね。そのときは右に向いていたけれども、次の瞬間には左に向いて進んでいったかもしれないんですよ。やはりこれは定期的にやらないと、どういう動向で日本への意識が持たれているか、動いているかというのはわからないわけなんです。

 これを見ますと、マレーシア、インドネシア、フィリピン、シンガポール、どの国に親しみを感じますかといったら、国によっては日本に五人に三人ぐらいは関心を持っているけれども、同じ東南アジアの隣接する国で日本には一五%ぐらいの人しか関心を持っていない国もあるわけなんですよ。また、日本の技術に関心がありますかといったら、ある国は五%ぐらい、ある国は六割ぐらい持っている。だけれども、日本の芸術文化に関心がありますかといったら、どこの東南アジアの国も、この調査によると、四人に一人は間違いなく関心を持っていると出ているわけなんですよ。

 では、その芸術文化とは何なのか。能なのか、歌舞伎なのか、それともポップカルチャーに代表されるようなポケモンのアニメのことを言っているのか、映画のことを言っているのかといったらわからないんです。そういうのを詳しく調べていってこそ、戦略性のあるパブリックディプロマシーというのは展開できると思うんですよ。

 それで、来年、この対日意識調査に幾ら予算がついていると思われますか。二千七百万円、たったの二千七百万円しかついていないんですよ。今までなかったので、これからは毎年やっていきたいという思いが担当者の方にはきっとあるんだというふうには思いますけれども、二千七百万円ですよ。選挙区の世論調査をして大体幾らになるかというような観点からいっても、これは、字を読める人読めない人というのがアジアにはまだ多くおられますから、字を読める人だけを見つけて世論調査をする。街角を歩いてどこでも世論調査をするというわけにはいかなかったりするわけですね。教養の層に分けて世論調査をしたりしますから、同じサンプル五百、八百とるとしても、コストがかかります。調べに行く人を育てなければなりません。二千七百万円で何ができるんですか。

 これは、まだ予算は三月終わりまで議論できるんですから、思い切り増すなりなんなりちょっと考えた方がいいんじゃないですか。これはまさに、四つの柱の一つだ、アジア外交が大事だと言っておきながら、言っていることとやっていることが全然違う典型的な例だというふうに思いますけれども、いかがお感じでございましょうか。

○近藤政府参考人 お答えいたします。

 委員御指摘のとおり、世論調査によりまして、その相手国の国民の関心がどこにあるか、日本をどう見ているかということを探ることは非常に重要だと思っております。したがいまして、従来アメリカは毎年やってまいりましたが、それ以外の地域につきましても、できるだけ定期的に、定点観測という意味で定期的に調査をしていくべく、今準備をしております。

 コストにつきましては、途上国は比較的安いコストでできますので、現在の予算の中で、これまで以上の効率のよい調査をすることによって相手国の状況を知ることは可能であると考えております。

○大谷委員 谷垣大臣に質問をしてよろしいんでしょうか。

 これは今、この議論の経過を見ておいていただいて、二千七百万円で対日意識調査は細かく分析できるような金額じゃないと僕は感じているんですけれども、谷垣大臣はどのようにお感じになられますか。

○谷垣国務大臣 私、今のこの予算が具体的にどういうふうに査定をしてでき上がってきたのか、事前に御通告をいただければ私なりに勉強してまいりましたが、ちょっと今申し上げにくいです。

 ただ、できるだけ予算の質を高めていく。ことしこういう予算をつくりました、そしてその実効性あるいは効率性、どれだけ効果があったとかということももう一回レビューしながら、これは当然外務省にもやっていただかなきゃなりません、また来年どうしていくか。そういう質を高める努力は私どももいたしたいと思っております。

○大谷委員 ここまできたらやはり、町村外務大臣、コメントをこの問題についていただきたいというふうに思います。

○町村国務大臣 個々の予算の項目をとれば、それは一つ一つ、十分であるか不十分であるか、必ず議論があろうかと思います。

 私どもとしては、この二千七百万をいかに有効に使うか、先ほど部長が答弁をいたしましたが、そういう観点で、限られた予算をできるだけ有効に活用し、かつ、委員おっしゃったように、確かに定点観測という意識といいましょうか、そういうとらえ方というのは非常に重要だ、こう思いますので、そういう今いただいた御示唆も大いに踏まえながら有効に活用していきたい、かように考えております。

○大谷委員 フォーカスグループという世論調査の方法がございますけれども、例えば僕が今やりたいのは、十人ぐらいの中国の十代の男の子と女の子、それも所得の層、十代で学歴云々はないでしょうけれども、いろいろな人が集まって二、三時間話をしてもらって、それで日本に対してどんな意識を持っているかというようなことをやっていく。そんな分析とかがあってこそ、初めてしっかりとした戦略ができるのだというふうに思っています。

 二千七百万円を上手に使うのは当たり前のことでありまして、このパブリックディプロマシーという、ソフトパワーを拡大するという戦略に沿って、必要な調査であるならばどんどんやらなかったら、外務大臣のリーダーシップがないということになりますよ。人材は幾らでもいるんですよ。その人たちをしっかり活用し、それを国会に見せて、さらに議論をして深めていくという橋渡し役をするのが外務大臣の仕事だというふうに思いますので、しっかりとリーダーシップを果たしていただきたいと思います。丸投げ外務大臣と言われるようなことだけはないようにお願いしたいというふうに思っております。

 それで、次に、文化庁に御質問をさせていただきたいと思います。

 文化庁がそれなりに伝統芸能を中心として日本の文化をしっかり守り育てていくという役割を果たしているんですけれども、その中でソフトパワーの拡大というような意識、概念はお持ちなのでしょうか。そんな質問からまずさせていただきます。

○中山国務大臣 お答えをいたします。

 ソフトパワー、日本人の生活様式から始まりまして、文化、芸術、あるいは精神のありようまで含めて、日本人のソフトパワー、これを高めていくということは、二十一世紀の国際社会において極めて重要なことであるというふうに考えているわけでございます。

 そのことが国際社会におきます日本の存在というものを大きくするということもありますし、相互の交流によってまた世界の中で日本人が、あるいは日本が、日本に対する理解がうんと深まっていくという意味で大変大事なことでありまして、文化庁といたしましても一生懸命力を入れているところでございます。

○大谷委員 ソフトパワーのつくような事業が何かありますかと調べてみますと、平成十七年度の予算の中に、「日本文化の魅力」発見・発信プランというのがついているんですね。これは何かというと、我が国の魅力ある文化を海外に発信し、相手国を引きつける能力、ソフトパワーをさらに強化するため、アニメ、漫画という大衆文化を通じたワークショップ、人材育成をやっていきたいという内容の事業なんですけれども、予算が二千万円なんですよ。

 これを、多い少ないは今言いませんけれども、この事業の目的が何で、どういう人をターゲットにして、どういう結果を得るためにこれが出てきたのか。要するに、このプランが出てきた背景というか戦略性というか、企画のねらいというようなものをぜひ教えてほしいと思っています。

○中山国務大臣 今御指摘がありましたように、平成十七年度から新たに、ソフトパワーを強化するために、アニメ、漫画等のメディア芸術分野で諸外国の芸術家等とのワークショップやコンテンツの共同制作などを支援する事業を計上しているところでございます。

 まさに、日本のこれから世界に発信すべきものは何かというふうなことを考えた場合に、今非常に世界的にも評判でありますけれども、アニメとか漫画とか、そういったものを含めて日本のよさというものを世界に発信していこう、そういう観点から、金額は少ないといえば少ないかもしれませんが、最初はそういうものだろうと思うわけでございまして、効果的に使いながら、本当に、日本を売り込んでいくという先兵として、私は役割を期待しているところでございます。

○大谷委員 多い少ないじゃなくて始まりだという答弁だったので、しっかりと、千里の道も一歩からというふうに言いますから、しっかりと頑張っていただきたいというふうに思います。

 もう一つ、視点を変えて質問させていただきたいんですけれども、文化庁さんの事業の中で、ソフトパワーという関連の中、何か外務省さんとこうやって連携というか、一緒に、あわせ持って事業に取り組んでいくというようなことがあったのか、これから、来年起こりそうなのか、そんな発想があるのかというようなことをぜひ教えてほしいと思います。

○中山国務大臣 国際的な文化交流というのは、国のレベルあるいは地方公共団体、民間等さまざまなレベルで連携しながらやっているわけでございまして、外務省を初め関係省庁とも、それぞれの政策目的を踏まえながら、情報を共有しながら、連携協力して総合的に国際文化交流に係る施策を進めていくことが必要であると考えております。

 従来から、国際文化交流を実施するに当たりましては、例えば国際交流年における文化交流事業の共催や関係事業の連携実施、平成十七年は日韓友情年及び日EU市民交流年でもあるわけでございます。あるいは、これは国際交流基金が中心でございますけれども、海外公演等を行います文化芸術団体に対する連携支援とか、さらに在外公館の協力や専門的な助言を受けた国際交流事業の実施、これは国際文化フォーラム等でございますが、こういった国際文化交流の実施に当たりましては、外務省との連携を強めながらやっているところでございます。

○町村国務大臣 実は数年前、私、文部大臣をやっておりました。そして、そのとき日本語の普及というものを、先ほどアリアンスフランセーズの話もありましたが、これを何とかやりたいものだと思って文化庁を考えたんですが、その後、私、外務政務次官を仰せつかりまして、文化交流部と文化庁と一緒に会議をやるようになり、どういうテキスト、教科書ですね、テキストをつくったらいいか、どういう教え方をしたらいいか、どういう場所で実際に講習をやったらどうかということで共同プロジェクトを始めて、今、それらが実際動いております。

 文部省でいいますとたしか国語研究所だったと思いますし、こちらでいうと今国際交流基金、一緒になって、それぞれ手分けをしながらですが、トータルとして、日本全体で日本語を普及できるようにということで、数年前からかなり密接な連携を保ちながらやっている。

 あるいは、外国の言語を日本に持ってくるということで、例えばJETプログラムというのが御承知のとおりあります。これなども、これは日本語の普及ではなくて、外国語の日本における普及という意味で、これも両省協力しながらやっているというようなことで、不十分かもしれませんが、結構意識してそこは一緒にやっているつもりであります。

○大谷委員 なるほど、リーダーの個人的な経歴やネットワークを通じての連携というのがあるのだなというのはわかりました。しかしながら、組織立って、機関立ったような連携というものが必要だというふうに思っております、これは後でまた議論させていただこうとは思っておりますけれども。

 文化庁の施策の中でもう一つだけ聞きたいんですけれども、これは、海外に日本の伝統文化それから大衆文化を含めて発信していくというだけではなく、パブリックディプロマシーというのは、ジョージ・ケナンさんが九七年、フォーリン・アフェアーズの論文でも言っているように、外交官なき外交みたいな時代になってきたからこそパブリックディプロマシーみたいなことが言われているわけでありまして、これからたくさん海外に行くのが多いわけですよね。たくさんの外国人が日本にこれから、留学だの、旅行だの、そしてお仕事だというようなことで入ってくるわけですよね。そのとき、プロのアーティストだ、芸術家だという人に会うんじゃなくて、一日本人が、どれだけ文化力をその個人が身につけているかということが問われるんじゃないかなというふうに思っているんです。

 僕なんかが留学させてもらったときは、ちょっとだけ日本舞踊をかじったので、留学生ばかりのお祭りが学校であったら、着物を着て日本舞踊をやるわけですよ。そうすると、非常に喜んでいただいて、友達がふえる。何か自分でも日本を代表したかなみたいな気持ちになるわけなんですよ。そんな文化力を個人個人が身につけていくような施策をやっていかなければいけないというふうに思うんですが、それが文化庁なのか文部省なのか、そこはわからないところなんですけれども、そんな役割を文部大臣として果たしていくような気があるでしょうか。

 私、こんなことを聞いたんですよ。ある能のお家元さん、もちろんプロの方ですよ、文化庁さんに、もっと伝統芸能、本物の芸術、伝統というものに親しんでいただくために、人口の小さいところ、すなわちは歌舞伎だの能ができるような劇場のないところで簡単に劇場をつくって、能の一部の部分だけでも見せていただけるようなことをしてみたいなという提案をしに行ったら、ああ、それは国の仕事じゃありませんからと言われたらしいんですよ。まさに文化力を高めるという意識が足りないんじゃないのかなと思ってびっくりしたんですけれども、そんなエピソードも含めて、どんな意識があるか、ぜひともお示しくださいませ。

○中山国務大臣 まさにおっしゃるように、トップレベルの文化人だけではなくて、私ども普通の国民が、やはり、芸術文化あるいは芸能も含めて、そういったものをたしなむことによりまして、全体として日本人のそういう文化力を高める、これはやはりすごいパワーになると思うんですね。

 そういう意味で、一般大衆に至るまでのいろいろな支援も実はしているわけでございまして、この間も私のところに中村吉右衛門さんが来られまして、歌舞伎について、東京でやっているんだけれども、ぜひ大阪の方でもやりたいので、その予算を何とかなりませんか、こういう話がありましたものですから、承りました、ぜひそっちの方も御支援するように考えましょう、実はこういうふうにお話ししたんですけれども、ああいった本当に一流の方が、そういう地方にまで行かれて一般の方々に、本当に一部でもいいけれども、そういった鑑賞の機会を提供するというふうなことはとても大事なことだろう、こう思うわけでございます。

 もちろん、今でも全国に五カ所、国立劇場が設置されているわけでございまして、そういったところも活用しなければいけませんが、やはり地域の細かなところまで出ていって何かできるような、そういったことについても、これは文部科学省、文化庁あわせて支援していきたい、このように考えております。

○大谷委員 ぜひとも一人一人の文化力が高まるように工夫をしていただきたいというふうに思いますし、これまたずっと年々検証させていただきたいというふうに思います。

 ちょっと問題が移りまして、東アジア共同体という構想について質問をさせていただきたいというふうに思います。もちろん外務大臣でございます。

 二〇〇二年のころ、小泉総理は、東アジア拡大コミュニティー構想とかといって、拡大という文字が入っていたんです。それで、最近はその真ん中ぐらいで、東アジア・コミュニティー。今、東アジア共同体。いや、コミュニティーを日本語に直したら共同体だから、何も言っていることは一緒だよといいますけれども、この拡大がとれちゃったというのは一体何なのかなというふうに思っています。

 それで、東アジア共同体というと、ここにいるみんながそうだと思うんですけれども、ああ、ヨーロッパのEUのようなものをつくろうとしているのかとか、いや、ただ経済面において、人、金、物ぐらいの部分で自由に行き来できる、障壁を少なくしたような地域のことを言っているのか、もしくは、アメリカやヨーロッパというのを排他的にする経済地域主義のことを言っているのか、非常にまだ説明が足りていないというような気がするんですけれども、どんなイメージを持って、何をしようとしているのか、そのときの国益が一体何なのか。

 本年十二月にはマレーシアで東アジア・サミットというのが開かれますけれども、そこで何なりの提言というものを多分この構想に対してすると思うんですけれども、一体どんなもので何をしようとしているのか、御定義いただきたいというふうに思います。

○町村国務大臣 お答えいたします。

 小泉総理の発言がございましたけれども、二〇〇二年の一月にいわゆるシンガポール・スピーチというものを行いまして、ともに歩みともに進むコミュニティーの構築を目指すということから、拡大しつつある東アジア地域協力を通じてこうしたものを進めていこうということであって、東アジア拡大コミュニティーという、単語的には余り使っていないように思います。

 そして、それから一年余を経て二〇〇三年十二月には、日・ASEAN東京宣言の中には東アジア・コミュニティー、東アジア共同体という言葉を使っております。

 ここで意図しているところの違いは、私は率直に言って、総理自身の頭の中にはそう違いはない、こう思っております。共同体というと、まさにECあるいはEUということがどうしても対比をされて議論されるわけであります。これから何年たつか、何十年たつか、それはいずれの日にかそういう姿になるかもしれない。しかし、今そこまでの、一挙に、理想の姿を描いて、あるいは到達すべき姿を描いて、それに向けてという形にはまだなっておりません。それぞれの国がそれぞれのイメージを持っているというのが率直に言って今の姿だろう、こう思っております。

 したがいまして、特に東アジア地域、もう委員御承知のとおり、民族も非常に数が多い、宗教も違う、経済発展段階も違う。国によって、十億を超える民のいる中国から、それこそ数百万という小さな国もある。あるいは国のイデオロギーも、やはり、中国共産党あるいは北朝鮮、労働党ですか、まさに共産主義というようなところから、いろいろあります。したがって、それらを現在のEUの姿のようなものに一遍に持っていくということは、それは望んでも不可能なことだろうと思います。

 ただ、現在、それでは何のためにこういうことを言っているのかといえば、やはりこの地域が繁栄している、発展をしている、そしてより一層相互の結びつきを強めていこうという意味で、現在のところは経済の分野にかなり重点を置いて、経済連携協定でありますとか、あるいは金融面でのつながりでありますとか、そういうことを中心に今やっております。

 もちろん、それを超える、国境を越える問題もアジアの中で、例えばマラッカ海峡の例の海賊の問題というようなことがあったり、あるいは麻薬の問題があったりする。こういうことはこの地域の大きな課題としても取り上げておりますが、主として経済問題、これらをどんどん深めていくことによって、だんだんいろいろなイメージが具体化してくるんだろう、こう思います。

 したがって、ことしの十二月、委員お触れになりました東アジア・サミット、十二月にマレーシアで開かれる予定でございますが、まだ参加する国はどこなのかということが実は確定をしておらないわけであります。一応だれしもが思うのは、ASEAN十カ国プラス日中韓三カ国の十三カ国、これがコアのメンバーであろう、中心メンバーであるということについての異論はないわけでありますが、それにさらにインドを加えたらどうか、オーストラリア、ニュージーランドはどうするのか、あるいはアメリカはというような議論がいろいろ、正直言ってございます。したがって、この辺が、まだこれから議論をしていく。

 あるいは、それならば、ASEANプラス3という今までの枠組みと今度の東アジア・サミットと、仮に国の数が同じだとすると、では機能は何が変わってくるんだろうか。この辺は正直言って、実は各国でこれも詰まっていないテーマでございまして、五月に京都でASEMの外相会談というのをやります。私がその会議の主宰をやることになっている、議長をやることになっておりますけれども、そこでもう少し頭の整理をだんだんやっていこうというのが現在の東アジア・サミットの現状であるということでございまして、なかなか、委員の明敏なる頭脳で、きちんとしたすばらしい絵が描かれて、それに向かって着々毎年進んでいくという形には、まだ現状、国際的なコンセンサスができていないというのが現在の姿でございます。

○大谷委員 各国が違う東アジア共同体のイメージを持っているからこそ、日本は日本の国益をしっかり守るためのイニシアチブ、リーダーシップという言葉が正しいかどうかはわかりませんけれども、戦略性というかそういうような分析思考、視点というものを持って臨んでいくべきだというふうに指摘をさせていただきます。

 これに関連して、FTA、EPAに問題を移らせていただきたいというふうに思いますが、アメリカとのFTAを結ぶべきだというような有識者の発言等々を最近耳にするんですが、大臣はどのようにこれを考えておられるのですか。全体のFTA、EPAの戦略というものもかんがみて、どういう位置づけ、どういうイメージを持たれているのか、コメントをいただけたらと思います。

○町村国務大臣 FTA、EPAにつきましては、実は、当初、かなり事実関係が先行してしまったのかなという感じがありました。そこで少し、関係省庁、日本政府全体で頭の整理をしようではないかということで、昨年の秋から冬にかけて大分議論をいたしました。昨年の十二月二十一日に経済連携促進関係閣僚会議というものを開きまして、これは前からあったんですが、それを開いて、その場で、今後の経済連携協定の推進についての基本方針というものを定めたわけでございます。

 多分、委員にもこれはお目通しをいただいているかと思いますけれども、基本的には、WTOを補完するものとして位置づけようではないか、そして日本の対外関係の発展や日本の経済的利益の確保に寄与する、あわせて、日本及び相手国の構造改革にも寄与するものであろうということ、そして特に、当面は東アジアを中心にやっていこうではないかということで、シンガポール、メキシコと終えて、何でメキシコが入ったのかという御批判はあるのかもしれませんが、現実が先行していたということも一つはあります。そして、現在、フィリピン、韓国、タイ、マレーシアと交渉しているというのがその姿でありますし、この春からはASEAN全体とのあれもやっていこう。それは、先ほど申し上げました、経済を中心とする東アジア共同体ということをかなり色濃く意識しながらこれを取り組んでいく。

 では、そういう位置づけの中で、アメリカはどうなのかという今お尋ねでございました。率直に言って、これはなかなか、いろいろな議論があり得まして、日本とアメリカが結ぶ、日本と例えばEUが結ぶ、EUと仮にアメリカが結ぶ、今いずれもないわけでありますが、そうなってくると、主要な世界の経済の七割、八割のものがそこでカバーされてきたときに、では、今やっているWTOというものが一体どういうことになるんだろうかなというような議論があります。

 さっき申し上げましたように、やはりWTOというのは、世界全体の国々を包含する、それも一つのルールでそれをやっていこうというWTOというものがベースにあっていい、私はこう思っておりますから、そこで日米あるいは日・EUというものまでいってしまうと、ちょっとWTOとの関係が、どうも頭の整理がうまくできないなということもあります。

 現実に、日本とアメリカ、このEPAあるいはFTAというものがあるとないとにかかわらず、これだけの経済関係が既にでき上がってきておりますから、あえてそれを今つくらなければ非常に何か日本が困るとか、日本の経済活動に影響が出るということでも必ずしもないのではないかということで、今、日米間でそれを真剣に議論しているということはございません。

○大谷委員 わかりました。

 時間がなくなってきたので、矢継ぎ早にFTAに関する問題点を指摘させていただいて、各大臣からお答えいただきたいというふうに思っています。

 FTA、EPAを進めていくにおいて、戦略的視点、そして国内改革も伴うようなEPA、FTAと今町村大臣おっしゃいましたけれども、まさに改革を伴いますから、それなりに調整する機能のあるようなものが内閣に、官房に必要なのかなというふうに思っています。

 一つ質問しますと、オーストラリアとのFTAというのは一体どうなっているのかというのも、これは町村外務大臣、教えていただきたいんですけれども、私、非常に懸念しておりますのは、多分、今言った東アジアということでいえば、これはアジアでもあるわけなんですよ。なおかつ、日本の石炭輸入の六割ぐらいがオーストラリアから来ているわけですよね。

 今、御存じのとおり、中国がエネルギー需要が非常に大きくなってきまして、どんどんオーストラリアにも石炭を買いに行っているわけなんですよ。日本は、十年、長期契約でオーストラリアと石炭買いますよとやっていますけれども、値段は毎年上がったり下がったりするわけですよね。

 これは、中国とオーストラリアのFTA、日本とオーストラリアのFTAがおくれたり云々するようなことになりますと、今売り手市場であるこの石炭という産物は、多分どんどん、中国の方が高く買ってくれるんだからということで値段が上がっていったりする可能性があるわけなんですよ。まさに、日本のエネルギー政策において、コスト高、そしてアクセスが細っていくというようなことが発生してくるのがFTAでもEPAでもある。日本だけのEPAじゃないですよ。各国がEPAのバイの関係を結んでいく、その複雑なラインの中で、エネルギーにさえも日本に支障を来してしまうようなことがある。

 だから、外務省だけじゃなくて、大きな視点で戦略、シミュレーションをしていくような機関が必要じゃないかなというふうに思っています。そんな観点から、オーストラリアをどうするのか。

 それからもう一つは、このFTAの中で、人の移動というのが大切になってきますが、フィリピンでは、看護師さんというものになります。これは一体、法務省がこれからの人の出入りというものをどう考えているのかという指針を法務大臣に教えてほしいんですけれども、言われたからちょろちょろ入れるのか、いや、日本はアジアの中の一員としてしっかりとオープンにしていきますよ、ただ、だれでもかれでも来るというわけじゃなくて、専門職の方々とか技術職の方々というような方には幾らでも来ていただきますよという姿勢なのか、どっちなのかというのをはっきりと見せていただきたいということ。

 例えば、そうなってくると、どんな資格でも結構ですが、厚生労働関係の資格、看護師さんであったりとかするような、医者もそうですよね、相互的に、向こうとこっちの共通した資格制度みたいなものをつくっていったらいいじゃないかというふうに思うんですけれども、これは外務省がやるのか、厚生労働省がやるのか、一体どこがやるのかというと、全く、両方でもないし、事務方の方に聞きますと、うちじゃない、うちじゃないと僕は答えをされたんですよね。まさに、どっちがそれに責任を持ってやるのかというのが明確じゃないんですよ。こういう問題がいっぱいFTAを進めていく上において出てくるんですから、何か大きなこういう部署をつくらなきゃいけないんじゃないかなというふうに思っています。

 オーストラリアのことを町村大臣に、それから人の移動について法務大臣に、最後に官房長官にそんな大きなものをつくっていく必要があるのかないのかということを、続けて御答弁いただけたらというふうに思いますが、よろしいでしょうか、委員長。

○町村国務大臣 オーストラリアについてのお尋ねでございますが、原材料の確保というのは、先ほど申し上げました基本方針の中でも、一つの大きなきっかけといいましょうか、要素として当然考えるべきことということで位置づけております。中国とオーストラリアのFTAは、この四月から交渉を始めるということで、現状はございません。ございませんけれども、どんどん買い付けようということで値段が現実に上がっているという実態も委員御指摘のとおりでございます。

 では、日本とオーストラリアのFTA、どうするのかというお尋ねでございました。

 二〇〇三年の七月に、オーストラリアのハワード首相が日本に来られまして、その際合意した日豪貿易経済枠組みというのがございまして、そのもとで共同研究をやっております。ただ、これはFTA締結を前提にしたものではなくて、どういうようなことを今後やっていったらいいのかということで勉強しております。そろそろ、その辺の勉強結果もまとまってまいりますので、今後それを踏まえた上で、それじゃ、FTAを今後進めていくのかどうなのか、それを前提にした調査研究をお互いにもう一度やるのかどうか、今後、精力的に研究、勉強をしていきたいと考えております。

○南野国務大臣 先生にお答えいたします。

 法務省といたしましては、我が国社会の安全と秩序、それを維持しつつ、外国人の円滑な受け入れを図っていくのが国の内外から要請されているというふうに認識いたしております。外国人の方々の受け入れは、我が国の経済社会の活性化、または一層の国際化にも資するものであるということは、あれとして持っております。

 さらに、FTAのことをお話がございましたが、FTA交渉におきます各国からの人の移動、その分野におけるかかる要望に対しましては、我が国の経済社会の活性化、一層の国際化を図るという観点もありますが、専門的、技術的分野の外国人労働者の受け入れということを積極的に推進していくという基本的方針を持っております。それにのっとり、現在、各国との交渉を行っております。

 この点につきましては、不法就労防止などの観点も踏まえまして、よりよい受け入れ制度となるように関係省と緊密に連携しながら各国とのFTA交渉を推進していきたいと思っております。

 以上です。

○細田国務大臣 余り知られていないんですが、小泉総理は、ほとんど郵政の問題と同じぐらいFTAには熱心であります。それは……(発言する者あり)いや、まさにそうでございます。いや、熱心でございます。私は、たまたまバリ島へお供したときに、メキシコの大臣が見えていて、最後の段階で、豚肉だ、オレンジだ、いろいろなことがもめたときに、とにかくまとめろ、とにかくこのFTAというのは今後のために必要なことであるということで、私は、インドネシアから専ら本国へいろいろな指示を伝えた覚えがあります。

 そこで、今おっしゃった、ほかの各国、今、いろいろな国、地域においてFTAが必要な状態、EPAが必要な状態が起こっておりますし、それは我が国のためにもなる、おっしゃったとおりであります。そこで、私ども、総理大臣がトップなんですが、普通は私が司会役をして、経済連携促進関係閣僚会議を頻繁に今開いておりまして、各国ごとにどういう必要性があるか、先ほどおっしゃった各省と非常に関係しますので、労働問題があったり、その他社会問題とかいろいろありますので、どういう連携関係が必要なのかということを詰めて、そして、かつ優先度はどうか、それから、両国の体制も、仕切っておるぐらいのときにはまだ進みませんので、いよいよ両方からプロポーザルが出てくるような国はどこか、我が国として戦略的に次にどこに取り組むべきかということを、今官邸に集まって、関係大臣が寄って常に詰めるような体制をとっております。

 そこには、内閣総理大臣、代理は私ですが、総務大臣、法務大臣、外務大臣、財務大臣、文部科学大臣、厚生労働大臣、農水大臣、経済産業大臣、国土交通大臣、環境大臣、特命の金融担当大臣等々が入って協議する体制、そして、国ごとの細かい詰めにおいてはその中で必要な大臣が集まって協議するという、おっしゃったような、内閣を挙げての体制をとっておるところでございます。

○大谷委員 わかりました。

 ぜひとも、ネットワーク、連絡協議会みたいなアドホックなものじゃなくて、永久的にずっと機関として残っていくような調整機関というものをしっかりとつくっていく必要性があるんだというふうに思っています。

 一言だけ言わせてもらいますけれども、平成十四年十一月二十八日、対外関係タスクフォース、小泉総理のもとにできた有識者による二十一世紀日本外交の基本戦略というような提案書があるんですけれども、これは本当によくできているんですよね。「政治は長期的戦略に基づいて外交のあり方を把握するビジョンを欠いてきた。」という、政治や行政の日本の戦後の外交の反省分析もしてあるんですけれども、その中で、やはり官邸の中に何らかの、有識者を中心とするのか、各省庁から来た権威のある機関をつくるなりして、これからの複雑な外交を推し進めていく上での、国内改革も伴うこれからの政治の中で、しっかりとした機関をつくっていく必要があるというふうに私は考えています。

 アメリカでは、毎年、大統領府が議会に対して国家安全保障戦略というペーパーをしっかりと出して、そのペーパーを見て議会で議論をしていく。我々の外交白書にあるようなものではなくて、もっと戦略的に、それは、目的があって、そのための最適な選択肢が述べられていて、その上で再評価があるというような、流れに沿ったものが出てきます。こんなものをしっかりとつくっていくことが、ビジョンを欠いてきた日本の外交というものをしっかりとリーダーシップあるものに変えていく、国益を守るものに変えていくんだというふうに思っています。

 農林水産大臣に質問する時間がなくなってしまいましたが、スイスとのFTAというような話があることを新聞で見ましたが、まさに戦略的視点があって、東アジアとさっきからさんざん町村外務大臣がおっしゃっているので、そのことをかんがみたら、何で唐突にスイスとのFTAが出てくるのというような議論をしたかったんですけれども、これを精査するためにも、各省庁が自分たちの思惑だけでやっているとは思いませんけれども、どうもそのように見えてしようがない。それを精査、調整するためにも、やはり何らかの、しっかりとした官邸による機関が要るのではないか。それがつくれるかつくれないかによって、戦略ある日本外交に変わるかどうかの節目になるのではないかというふうに思っております。外務委員として、これからもしっかりと委員会の中で議論させていただきたいというふうに思っております。

 ありがとうございました。


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