第156回国会 衆議院 国土交通委員会 第22号 2003年05月20日

○河合委員長 大谷信盛君。

○大谷委員 おはようございます。民主党、大谷信盛でございます。
 私の選出いただいておりますのは、池田市がございまして、大阪国際空港、伊丹空港がございまして、この空港の問 題についてはずっとこの一年間取り組んできまして、きょうはお三方に御参加いただき、こうやって質問させていただける ことが、反対に私にとっても光栄なことと思っております。
 今、赤羽先生の方からも、国際競争力というようなものをどうやって上げていくのか、手法がほかにあるのではないのか というような指摘もございましたが、私は、今までの日本の空港、航空行政というものが、建設中心から、今度はつくった ものを運営していこうじゃないかという流れに変わりつつある大きな節目が、今回の成田の国際空港における民営化だと いうふうに思っています。
 いわゆる効率化、そして商業収入のアップによって競争力や利便性を高めていく、このことについては何の異論もござ いませんが、本当にそれができるのかということを大きなテーマにするべきだというふうに私は思っています。イギリスの 例が取り上げられて、成功している成功していると言われますけれども、例えば九一年のカナダのトロントの空港の民営 化の例なんかを見ますと、商品の陳列、商店の配置等々に余り工夫がなく、商業収入が思うほど上がらず、着陸料も下 げることができなかったというような一つの失敗例として挙げられていたりいたします。
 そんなことを考えるとき、本当に今回、この成田空港が民営化をされて、本丸は、着陸料が下がるのかどうなのか。利 用者の利便性ということを言うならば、航空会社さん、そして我々旅客、荷主さんと三つ大きなものが挙げられるわけです けれども、航空料金というものは結局は航空会社さんがお決めになられるわけですが、その航空会社さんがコストを算定 するときの大きなものがやはり着陸料だというふうに思います。ここの着陸料がどれだけ下げられるのか、商業化が本当 に成功できるんだろうか。また、さっき大橋会長が御指摘されましたように、利益の追求のために、独占的な地位を利用 して、どちらかというと、下げようと努力はしているけれども下げられないという結果に陥ってしまうのではないか。
 この委員会でも、前回のときは黒野総裁にお越しいただきまして質問をさせていただきましたら、絶対に下げるように頑 張っていきたい、政治的にも下げなければいけないんだというようなこと、すなわち、意識を十分持っているということを御 表明されました。どの方が成田国際空港株式会社の社長になられるかわかりませんが、新しくなられた方もその意識を 受け継いで経営されるんでしょうが、しかしながら、まだやはり、その独占的な地位を持って、実は着陸料を下げないどこ ろか上げてしまうんじゃないかというような懸念もこの短期間のうちには私は持っています。
 また、関空の整備もそうなんですが、石井さんが御指摘されましたように、この成田も大きな債務を持っておられまし て、イギリスの空港会社が民営化されたときとは少し状況が違う、だから助走期間というものをつくるんだと。では、五年 かかるのか十年かかるのかというと、いや、なるべく早く、三年の連続黒字が続けば株式上場できるわけですから、早く て二〇〇七年、二〇〇八年ぐらいをめどにして頑張っていくんだということでしたけれども、本当に成田空港の借金を返せ るめどがあるんだろうか。
 また、我が国の空港整備はいわゆる内部補助システム、プール制で続いてきていますから、どうしてもその考え方から 脱し切れず、例えば、株式を上場してできたお金が関空の方とかほかの空港の整備費に回されてしまって、首都圏の利 用者利便、受益と負担で考えるならば、やはり関空ではなく、反対に、羽田であったりとするような首都圏空港に使うべ きだと僕は思っておるんですが、それができないまま、着陸料もしくはこの地域の航空需要に対応するための資金として 使われないんじゃないかというようなたくさんの、着陸料が下がらないではないのかなという懸念があるんです。
 お三方にとって、着陸料が下がらないかもしれないとするならば、ここが一番のネックになってそうなるんではないかと いうような問題点を御指摘していただけますでしょうか。杉山先生からいっていいですか。

○杉山参考人 大変難しい御質問で、何が一番大きな懸念の材料かということを私は今すぐに頭に浮かんでまいりま せん。お答えしながら少しまた考えることといたしますが、私は、今おっしゃいました事柄について、着陸料の引き下げと いうこと、あるいは引き上げの懸念ということがございましたけれども、今回の民営化の意思決定の中で、もうこれは社会 全体が一番関心を持ち、そこにねらいを定めたのが、ほかならぬ着陸料の引き下げということであろうというふうに思って おります。
 それで、分科会での議論の中でも、これは珍しいことではないかと思いますけれども、行政サイドからも、そういうコスト の削減、着陸料の引き下げということをきちんと行うのであろうかという確認の質問がなされて、それに対して、今おっし ゃった黒野総裁が、それは必ずそういうことで努力をしますというふうにはっきりおっしゃったことを覚えております。
 先ほど大橋参考人がおっしゃいましたように、競争という圧力というものが、通常、経済上の成果を生み出すのに非常 に重要なことでありますけれども、しかし、圧力というのは、もちろん競争だけではなくて、やはり政治、社会、一般の論 調の圧力というのも、これも大変大きなものがあります。
 私は、そういう意味で、今回着陸料が引き下げられるということは、一番の目的であるがゆえにそこに向かって努力をし ていくはずのものである。それを全く無視して、ましてや引き上げというような方向が出てくるというようなことは、正直なと ころ、今まで余り考えておりませんでした。
 したがって、いろいろな、世界の中で起きる不慮の事態であるとか、あるいは、現在そういうことが一つありますけれど も、航空需要の予期せざる停滞とか、そういうものが大きく出てきた場合には別といたしまして、今までのような需要の伸 びというものがあれば、そのもとで、今回の民営化の目指すところによって、懸念しているようなことにはならないのでは ないかというふうに私は考えております。
 直接のお答えにはなりませんけれども、そのように考える次第でございます。

○大谷委員 もうちょっと具体的に聞けば、杉山先生のお考えはわかりましたけれども、僕なんかは、どちらかというと、 そういう意識があったとしても、着陸料値下げの目標年度みたいなものを設定すべきではないかというぐらいのことを思っ ています。
 プライスキャップは現時点では必要ないだろう。先生御存じのとおり、プライスキャップは物価によって上がったり下がっ たりいたしますので、そういう意味では上がる。また、九・一一のテロの一月後、二月後の航空需要が全く低迷している ときに、成田空港はIATAに対して着陸料の値上げを申請するようなこともございました。僕は、まさにタイミング的に、そ んなときにやっちゃいけないんじゃないのか、このときこそ利用者のことを考えて、我慢するべきときは我慢するんじゃな いか。
 そんな経緯があったものですから、上がることもある、もしくは、下がるといいながらも全然下がらないんじゃないかなと いう意識を持っているわけです。
 大橋会長にお伺いしたいんですが、例えば、たとえ今の成田空港が単体で運営されている公団形式のものであるとし ても、ほかの公団が空港に附属するお仕事をたくさんやられている。天下りとまでは言いませんが、国が責任を持って管 理、設置、維持をしていきますよという考え方ですから、国に関係のある機関がたくさん空港運営をお手伝いしているよう な形になっているというふうに思うんですが、たとえ民営化をしても、そこの部分も含めて民営化をしていかなかったら効 率化というようなことにならないんではないかというふうに思っておるんです。
 ある意味、利用者の代表として、その辺はどのように見られておられますか。着陸料、本当に下がるのか、下がらない としたらこういう懸念がありますよということとあわせて、御指摘、もしあるならばいただきたいと思うんです。

○大橋参考人 最初の御質問ですが、成田の空港にはたくさんの会社がございます。それは、私どものグループもござ いますし、JALさんのグループもたくさんございます。当然、公団さんのそういう仕事をされているところもございます。
 そういうことですから、民営化になった場合は、やはりそれで値段が固定化されるとか、そういうことは当然あってはなら ないことだと私は思っておりますし、そこは柔軟に、民営化に向かって、民営化になった場合には、今もしそうでないなら 変えていただきたいし、私ども、今のところそれほど意識はしておりませんけれども、もしそうであるならそういうふうに変 えていただきたいと思います。
 それから、着陸料がなかなか下がらないんじゃないかという御指摘でございますけれども、私も杉山先生の意見と一緒 でございまして、定期航空協会といたしましては、着陸料を下げていただきたいということは頭にずっとございまして、着 陸料がこれで下がらないんじゃないかというようなことを余り考えずに、民営化になったら着陸料は下がるであろうという ふうに考えております。
 実際に、もしかしたらこういうことで下がらないんじゃないかということは、ちょっと今現在持ち合わせていないものですか ら、申しわけございません。

○大谷委員 私もそうであってほしいと思っておりますが、根が心配性でございますので、何回も何回も確認をさせてい ただいているような次第でございます。
 同様の質問で恐縮なんですけれども、石井さんには後でもうちょっと質問をさせていただきたいんですけれども、この着 陸料、本当に下がるかなという懸念に対してはどのようにお考えですか。

○石井参考人 理論的なことを申し上げると、着陸料を下げていくという目標は当然必要だというふうには思っているん ですが、可能かどうかの議論をするときに、まさに大谷先生御指摘のように、航空収入でどれだけ収入が上がるか。これ は、着陸回数がどれだけ増加できるかという増加可能性の議論。それから、非航空収入で、今、多分、成田空港に来ら れている方で、こういうのがあったらいいのにな、お金を落とすんだけれどもなと思っている方がどれだけいるかという、そ の非航空収入の増加可能性の議論。あと、経営の効率化で言われるコスト削減可能性。それから、本当に必要なものに 絞っていくような投資の議論。こういったものを踏まえて、言うならば将来のキャッシュフローも含め、ディスカウントキャッ シュフローで現在価値に割り戻し、どれぐらいの価値があるか、これが確保されていれば十分に下げることはできるという ことで、考え方としてはそうでございます。
 ですので、この議論というのは多分そんな簡単に答えが出るべきものではないんですが、理論的に申し上げれば、こう いう議論を、しっかりといろいろなシミュレーションをやりながらやっていく必要があるのかなというふうに思っております。

○大谷委員 わかりました。着陸料が下がるであろうという希望のもと、全体、関係者で頑張って努力して競争力を高め ていくということで確認し合えたのかなというふうに思います。
 ならば、今回は国際空港である三つが民営化をされるわけですけれども、これは、利便性が向上したりするわけですか ら、ぜひ国内の空港にも適用していけるんではないかというふうに私は思っております。私なんかは、環境対策費、百億 円を大阪国際空港が使っておるのは申しわけないから、民営化していただけたら努力をして返せるような、そんな形にな れば国庫負担というものも減るんではないかというふうに思ったりもしておるんですが、石井先生は、この国内空港の民 営化ということについては、将来的にはどうあるべきか、どうなっていくんだろうかというようなお考えがもしあればお聞か せいただけますでしょうか。

○石井参考人 現在の国内空港の整備状況を見ますと、もう概成はしております。ただ、必要となる空港整備、羽田の 四本目の滑走路、大規模な投資を控えている状況でございます。ここは多分、民間事業ではとても厳しい。やはり国が 責任を持ってきちんとやるというのが今の流れではないかと思っています。
 それから、伊丹空港、確かに環境対策費が非常に大きいということでございますが、これを独立採算で伊丹だけに持た せればどういう議論が起こるか。要するに、迷惑をかけている人が負担しましょうという議論になっていくかもしれない。だ から、これは民営化の議論という以前の問題で、まず、だれが受益者で、だれがそういった原因を起こしているのか、原 因者負担の原則を適用していくなどの議論の方が先じゃないかというふうに思います。
 本来であれば、やはり需要が旺盛な大都市空港というのが、国内空港であっても民営化の対象になるはずですが、残 念ながら、財務的な面から見てまだ非常に厳しい。むしろ、制度的な独立採算を含めたあり方を議論していくことがまず 重要ではないか、それによって、受益と負担の関係、原因者負担の関係等々を整理していくということが必要かというふ うに思っております。

○大谷委員
 独立採算という手法に近づけていくには、必ずしもぽんと民営化ではなくて、いろいろな方法が考えていけ るんではないかということで、全く私もそのとおりだと思っています。その大きな主張が整理できていないから、国内空 港、特に羽田の場合はなかなかそんなふうにはいかないだろうというお話だというふうに思うんですが、私、空整特会で はもう限界があるんじゃないか。拠点空港づくりというのは国がしっかりと国策でもってやっていくべきことですから、ここ はやはり一般財源を戦略的にもっとさらに投資するべきだというふうに思って、ずっとこの委員会でも論じさせていただい ておるんですが、その辺は、石井先生、どうお考えですか。

○石井参考人 私もまさにそのように思っております。
 私の冒頭陳述で劣後的なインフラというふうに申し上げましたが、これからまだ国際需要を中心にして伸びるとわかって いる。ただ、その伸びが、今回のイラクの問題、SARSの問題によって、いつ出てくるかということは、環境変化によって 非常に大きな影響を受けるわけです。このリスクを民間にしょえというのは難しい。まさに公的なお金を入れて用意してお かなければいけないものだというふうに思います。
 そういった意味で、これから伸びていく輸送モード、道路、鉄道、港湾、航空と見たときに、唯一空港だけだと思っている んですね。要するに、つくったら必ず将来は使われるようになる、むだな投資にはならないという意味で、つくって使われ るものをつくるという新しい一般財源の使い方、それはぜひ進めていただきたいというふうに思いますし、私も、まさにおっ しゃるとおり、同じ考えでございます。

○大谷委員 ちょっと先の話になるんですが、四本目の滑走路が羽田にできた場合、私、何も国際空港と国内空港を分 ける必要は二十一世紀の中ではそんなにないのではないか。空港整備が一段落した中、使える空港は、国内であれ国 際であろうが、また個人の飛行機であろうが、どんどん有効活用すべきだというふうに思っておるんですが、行く行く羽田 というのはもう一遍国際、今でさえ大阪国際空港伊丹、そして東京国際空港羽田となって国際がついておるんですが、こ の辺はどう考えますか。分離するのではなく、ひっつけてもいいんじゃないか、特に首都圏に関しては。石井さんにお聞き したいんです。

○石井参考人 首都圏の空港のキャパシティーに余力がある場合には、十分利用者の利便性を考えて、利用者に選択 してもらおうという議論が成り立ち得るとは思いますが、残念ながら、需要に対してキャパシティーが後追いでついてくる、 その中で分離しているということについては合理性があるというふうに思っております。
 ただ、おっしゃるとおり、将来四本目の滑走路ができたときにどうするかという議論に関しては、今部分的な国際化の議 論もされておりますが、多分、近距離国際線を中心に、羽田を使った方が効用が上がるというような部分については、利 用者も望むでしょうから、そういう使い方というのは十分あってしかるべきだと思いますし、本来であれば、首都圏に十分 余力があって、乗客が選べるという状況が望ましいが、現実的にはございませんので、今の分離論、役割分担論という のには合理性があるというふうに思っています。

○大谷委員 最後に一つだけ、研究者でございます杉山先生と石井さんにお聞きしたいんですけれども、今回、空港の こと、いろいろとお金の面から調べて勉強させていただきますと、どうしても、空整特会というのはまだ情報化が進んでい ませんから、例えば各国内空港の収支だとかというようなものが全くわからない。空港全体の政策の評価をするんですか ら個別じゃないというのもよくわかるんですが、これから限られた資本を戦略的に投下して整備をし、また拡張していかな ければいけないという場合、個別の収支なんかができるような、ある意味、研究者にとっても情報の公開みたいなものが 必要だというふうに私は思うんですが、その辺はいかがですか。もう時間がないので、短く、杉山さんと石井さんで。

○杉山参考人 私は、全くその御指摘に賛成でございます。現在の空港関係のこと以外の社会の流れからいきまして も、そういうことは当然あるべきことだと思っております。

○石井参考人 おっしゃるとおりだと思っております。ぜひよろしくお願いいたします。

○大谷委員 今回の法案審議を通じて、利便性が我々利用者にとって高まることを望んで、参考人への質問を終わりた いと思います。
 きょうはありがとうございました。


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