第154回通常国会 衆-国土交通委員会-19号 2002年06月07日


○大谷委員 民主党の大谷信盛でございます。
 お忙しい中、三人の参考人の皆さんにはお時間をいただきまして、ありがとうございます。余り時間がございませんの で、一人一人に、さっきの十分、十五分では言い尽くせてないと思いますので、簡単な質問をさせていただいて、教えて いただけたらというふうに思っております。
 まず、伊藤社長の方なんですけれども、モーダルシフトの率のアップというのは大事だということは、もう重々わかってお るんです。それに鋭意努力されているということも重々理解をさせていただきましたし、また、自立したJR貨物株式会社 をつくるという、その心意気も十分理解をさせていただいたつもりでございます。
 今お話を聞いておりますと、駅とかのインフラ整備がよくなったらモーダルシフト率が上がるんだ、また、モーダルシフト 率を上げるために駅の整備等々を努力しているんだというお話でございました。
 具体的に、本当にそれだけでモーダルシフト率が上がるのかな。営業努力というようなものとか、二十一世紀のあるべ き物流システムをかんがみても、努力、戦略というものが必要ではないかなというふうに思うんです。そこの部分を全然お 聞かせいただいていないので一つ欲しいのと、具体的な例として、北九州の貨物ターミナルというものについて例示され ましたが、では、北九州でどれぐらいトラックに載るべき雑貨が鉄道、北九州の駅を通して載ってきているのか。どんな効 用があるのかというのを、具体的に少し教えていただけたらというふうに思います。
 次に、中西事務局長にお聞きしたいのは、私もたくさん、トラックの運転をされている方、またトラックの事業所を経営さ れている方々、地域の中でお話をさせていただきます。昔はよかったけれども、今はもう大変だ。何が大変かというと、特 に私が聞いていて驚いたのは、荷主さんが、ある意味、言葉にしない強要で過積載を強要されるというようなケースが 多々あるんだと。
 今、それなりのチェック機能をというような御提案、こちらのペーパーの方にも出ておりましたが、具体的にどうやったら そういうものが、現場に一番近いところを知っておられる中西さんにとって解決できるのかなと。
 今、安全や環境という規制を中心にして、そのようなことがないようにというふうなことを僕は理解したんですけれども、 では、具体的にはどんな施策があるのかな。それは、政府の役割もあるでしょう、また自治体の役割もあるでしょう。しか し、企業間同士の役割というか、すべきこともあるというふうに思うんです。その辺について少し教えていただけたらという ふうに思っております。
 そして、野尻先生には、教えてほしいんですが、大きなお話の中で、先生、アカデミックな分野からきょう出ていただい ておりますので、教えていただきたいのは、僕自身もまだはっきりわからない、この二日前も、大臣、また鉄道局長とも議 論させていただいたのでございますが、新物流大綱ということで、去年でき上がりました、あれの先生自身の、先生の持 っておられる物流への哲学、概念、コンセプトという観点から見た御評価をお聞かせいただきたい。
 何か大臣なんかは、諸外国に比べての競争力が高まれば、我が国の物流システムはよくなるんだと。確かにそれは 一見そうです。海運、特に港の使い勝手のよさということでいえば、競争力が低いというふうに判断できると思う。
 しかしながら、トラックであったり鉄道であったり飛行機であったりするもののコストが安くなるだけではなく、何を運ぶん だと、そして、何よりもこの国の産業のインフラでございますから、二十一世紀の産業は何なんだと、それにかんがみて、 その物流システムが効率がいいのか、効率が悪いのか、競争力があるのかないのかという話になるというふうに思うん です。大臣も、グランドデザインをつくっていくというふうにおっしゃいました。そんな、あるべき二十一世紀の物流システム をどのようにお考えなのか。
 特に、効率という言葉がよくこの物流システムの中では使われるんですが、一体何をもって効率が高まったというんだ ろうか。安いからか。競争が激化して、公正な競争がふえて、コストが安くなって、効率がよくなった、これは僕は、八〇 年代、九〇年代の考え方であって、二十一世紀の効率化というものは、そんな簡単な規制緩和や競争だけでできていく ものではないのではないかというような思いを持っております。
 しかしながら、鋭意私も議員として勉強させていただいておりますが、まだまだこれという確信を持った答えを持ってい るわけでもなく、野尻先生にお聞かせいただけたらというふうに思っております。
 順次、漠としたもので結構ですから、ぴしっとしたやつで、社長、お願いいたします。

○伊藤参考人 お答えいたします。
 多少専門的になるかもしれませんけれども、いわゆる鉄道貨物輸送の歴史を振り返ってみますと、一番大きな動きとい うのは、昭和五十九年二月にございまして、これは世界ではまだ残っておりますけれども、マーシャリングヤードという、 貨車を集結してそこで列車を仕立てるという、ヤードというのをなくしました、日本の場合には。これが今は全国三百駅ち ょっとでございますけれども、当時はまだ四百六十ぐらい駅がございましたが、そういうヤードを経て列車が動くという形 で、当然大変時間もかかるしサービスも悪いという実態がありました。この形で駅の施設ができている。
 どういうことかといいますと、貨車単位の輸送ですから、それが駅へ入りますと、いわゆる駅は長くなくて、むしろ面的な 駅で、そこに、入れかえという概念ですけれども、貨車を数車ごとに割っていくわけですね。そこに当然、作業する人も要 りますし、時間もかかる。着発線に一回列車が来て、そこから貨車をばらして、荷役線、荷物作業をするところに入れてい くということで、大変時間がかかったということがまず一つであります。
 これが、先ほど申し上げましたように、新しい駅はコンテナが中心でございまして、コンテナというのは基本的には列車 単位で動かすような仕組みになっております。直行輸送体系と言っておりますけれども。これは、私自身は旅客列車方式 なんて言っていますけれども、昔は貨車が一車一車ばらばらになるんでありますが、コンテナの列車方式というのは、旅 客列車のように、列車が着きます、コンテナですから、それはフォークリフトで積んだりおろすことが簡単にできます。そう いう面で、お客様が駅で乗りおりするように、貨物は足がございませんから人がやるしかないんですが、フォークリフトで 載せたり、到着したらおろして、また次のコンテナを載っける、こういう形で、列車ができればすぐに出ていけるという形 で、ダイヤ調整なんかも非常にやりやすくなるということですね。
 もう一回申し上げますが、昔の形の駅ですと、一回貨車をばらばらにするものですから、それをまたつなぎ合わせたりし ているうちに時間がかかってくるというようなことから、これをEアンドS、エフェクティブ・アンド・スピーディー・コンテナ・ハ ンドリング・システム、EアンドS駅と言っていますけれども、そういう形の駅が現在もう二十二駅ほどできております。
 さっきも申し上げましたが、百四十五のコンテナの駅を全部そうする必要はないと思いますけれども、少なくとも主要な 駅の四十ないし五十駅がそうなりますと、かなり列車の商品の質がよくなるということですね。中継作業なんかが早くで きる。それから、当然ですけれども、列車の到達時間も早くなるとかというような意味で、このモーダルシフト、モーダルシ フトというのは、やはりお客様がどう選択するかということでありますから、我々が幾ら使ってください使ってくださいと申し 上げましても、お客様の方からごらんになって、この列車は非常にいい、時間帯またはお値段ですね、そういう面で初め て御利用されるという意味でありますから、モーダルシフトだから黙っていれば来るわけではございません。
 そういう意味で、まだまだおくれている、つまりヤード輸送をやめて、いわゆる直行輸送方式をとったコンテナ中心の輸 送体系の中で、昔の駅のままの駅を、まだ数十駅そのままになっているところを直すことによってかなりの効果があると いうふうに私は思っている次第でございます。その例の一つが、先般の北九州でございます。
 北九州貨物ターミナルは、先ほども申し上げましたように、七十億の約半分は国ないし市の助成ででき上がった駅でご ざいますけれども、九州には福岡ターミナルという駅しかございませんでした。そこですべてのコンテナを中心として扱っ ておりましたが、日豊線でいいますと、逆線運転といいますか、一回福岡に行ってからまた戻るような形でございますの で、北九州貨物ターミナルができたことによって、中には十時間ほど早くなった例がございます。五時間とか十時間列車 が早くなる。この列車が早くなるということは、いい時間帯にいい列車を入れやすくなるということでございまして、大変荷 主さんの好評を得て、現在まだまだできたばかり、この三月でございますけれども、既にもう一一〇%弱まで荷物が伸び ているという状況であります。
 それから、またもう一つ、先ほど触れませんでしたけれども、いい悪いは別でありますが、現在、産業空洞化が大変進 んでいる中で、これから海上コンテナがかなりふえてまいります。これが、九州は中国と一番近いわけでありますから、こ れは北九州市で進めておられる、響灘コンテナヤードというのをやっておられるようでありますけれども、そのセッティング として、北九州貨物ターミナルが海上コンテナの受け皿となり、そこから全国に海上コンテナを発送できれば、これまた大 変大きなモーダルシフトの話ではなかろうか、こんなふうに思っている次第でございます。

○中西参考人 私の方からは、現場の状況はどうなっているんだという御質問なんですが、過積載なんというのは昔の ことで、もうなくなったんだろうというふうなことかもしれませんが、警察のデータを見ると、依然としてまだふえ続けてい る、減っているような状況ではないということです。
 それで、おっしゃるとおり、現場で、安くできないんであればこれだけ積んでいったらいいんだよというふうな話があると いうことはよく聞いております。それは、先ほどもお話ししたとおり、強大な力を持っておる荷主に対して中小零細が、そ れはできませんということはなかなか言いにくい。言うと、あしたから来なくてよろしいですよというふうなことになることが 多くありまして、なかなか言いにくい。
 そういうことから、先ほどもお願いしたとおり、いろいろなところに、いろいろなゲート部辺に重量計みたいなものを設置し ていただいて、それでしっかり点検をしていただく。一時、自重計をつけたらどうなんだという話がありましたが、自重計を つけたって、それはおまえのところのあれだから認めぬということでありますから、警察と国土交通省で連携して、しっか りそういうところでチェックをしていただきたい。
 それと同時に、捕まった場合、今のところは法を犯した運転手だけの名前が出ます。そうじゃなくて、運送会社、または 積み荷、例えば、例が悪いんですが、これは国土交通省の補強工事の残土でしたとか、そういう積み荷も報道公開して いただくとかなりの部分が解消できるんじゃないかなということで期待しております。
 以上です。

○野尻参考人 大変難しい御質問をいただきまして。
 効率性につきましては、やはり物差しがいろいろありますので、まだ私の頭の中でも、どの物差しから効率をはかるか ということにつきまして具体的な考え方はまとまっておりません。教科書的に言えば、資源を最大限有効に使うための仕 組みというものをどう考えるかということだろうと思っております。
 それから、物流施策大綱につきましては、平成九年に最初にこの大綱を見せていただきましたときの率直な第一印象 は、たしか、うろ覚えですが、当時の十四の省庁が横断的にこの物流というものを共通の認識として新たな施策をつくっ ていただく。ああ、十四も省庁があったのかというように思ったんですが、いずれにしましても、従来、旧運輸省、旧建設 省、あるいは旧通産省というような物流にかかわりの深い省庁だけではなくて、多くの省庁の方々あるいは政府がこの 物流というものの大切さを認識していただいたということが第一印象でありました。
 その中で、諸外国との競争ということがございましたが、やはり物流もグローバルな国際的な視点に立って物事を考え ていく必要性というものを御認識いただいたのかなというふうに考えております。今、中西参考人からの発言がございま したが、あるいは伊藤参考人もありましたが、例えば海上コンテナにつきましては二十フィート、四十フィートのコンテナが 日本に入ってきておりますが、世界の趨勢はもう四十五フィート、四十八フィートです。アメリカの内陸に行きますと、五十 三フィートという長尺物が動いております。標準で八フィート六インチでありますが、日本の場合に、まあ九フィート六インチ も、ハイキューブも入ってきておりますけれども、それは世界の共通になっているわけであります。四十五フィートの海上コ ンテナが自由に走れないというのは恐らく日本だけだろうと思います、先進諸国の中では。香港でも四十五フィートが走っ ておりますので。そういう認識をいただいたのかなというふうに思っております。
 それで、これからのことでございますが、この三法案もいわば規制緩和、ディレギュレーションという道筋の中で御議論 をいただいているというふうに認識しておりますが、ポストディレギュレーション、その規制緩和、規制改革の後にある政 策というのは一体何なのかということをしっかり認識する必要があるだろうと思います。
 ディレギュレーション先進国のアメリカにおきましては、ポストディレギュレーションの政策といたしまして、やはり国民が いつでも必要なときに安心して物を送れるという仕組みは何なのか、国の介入はどこまで、連邦政府はどこまで介入し、 地方政府はどこまで介入し、あるいは市民はどこまでこのことについて思いをいたすのかというような、さまざまな研究が なされておるという認識をしております。
 以上でございます。

○大谷委員
 ありがとうございます。
 伊藤参考人に一つだけ。北九州のこれは七十億使って、半分国が出しているのですけれども、売り上げはどれぐらい伸 びたんですか。一個の駅だけでは、モーダルシフトに荷主さんがなろうというふうには確かにならないと思います。二つだ け簡単に。北九州で幾ら売り上げが七十億投資をして伸びたか、今後伸びていきそうか、四十から五十の駅を近代化し てどれぐらい売り上げというか荷物量がふえていくのかという具体的な何か経営戦略上持っていると思うんですけれど も、一言で結構です。

○伊藤参考人 これからも大きく伸びていくことはもう間違いないんでありますけれども、輸送量的にいうと、この三月か らで、まだわずか二月でありますが、五%ぐらい伸びております。ですから、福岡との関係の調整はまだこれからやりま すので、私はもっともっと大きく伸びてまいると思います。

○大谷委員 わかりました。ありがとうございました。


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