|
第151回国会 衆議院 国土交通委員会 第22号 2001年06月13日
○赤松委員長 大谷信盛君。
○大谷委員 こんにちは。民主党、大谷信盛でございます。
さっきの樽床議員とほとんど同じ内容の質問を順番を変えてやらせていただくことになります。民主党のきょう最後の質 問者ということで、締めさせていただくということでやらせていただきたいというふうに思います。
一応私も衆議院議員、国民の代表でございます。一般市民の観点から、主婦感覚を持つ扇大臣に質問をさせていただ きたいというふうに思いますので、この観点からまた御答弁いただけたらというふうに思います。
まず最初に、公共事業の今までの事業計画とか、どうやって公共事業をやってきたのか。これからは新しい時代だとい うのが再三繰り返して述べられておりますが、ではどうやってやっていくんだという漠とした質問をさせていただきたいの です。
御存じのとおり、我が国は年間約三百兆円、一般会計と特別会計を入れて何らかの形で公共事業というものにお金を 使ってきているのです。確かに、雪に閉ざされて陸の孤島になる、そんな村が日本海側にたくさんあった四十年前には、 道が一本通るというだけでとてもありがたいことだった。しかしながら、ここからは後で議論するのですが、今や、ある意 味、道が最低限できたような状況にある中、道一本つくるときにも本当に考えてつくっていかなければいけない、そんな 状況になってきた。要するに、それは足りてきたからということだと思うのです。
では、今まではどうやって計画をつくってきて、これからはどうやって計画をつくっていくのか。要するに、どんなシステ ムで、これからの公共事業、今後減っていくであろうこの三百兆円という財源を使っていくのかということについて、方向 性を、理念をお述べいただけたらと思います。
○扇国務大臣 先ほども御論議がございましたけれども、戦前は別といたしましても、少なくとも戦後今日まで、日本 は、欧米先進国に追いつけ追い越せと、私たちの両親、おじいちゃん、おばあちゃん、本当に物のないときから努力して くれたと思います。私は、大谷先生もきっと、外国へ留学される前と帰ってこられての日本が違うというのをごらんになっ て、あっと思われたと思うのですね。
私も、友人が駐留軍として戦後日本に駐留しました。それがリタイアして、再び奥さんを連れて日本へ来たときに、彼は 私にこう言いました、これは日本ではないと。それくらいあの終戦のときの日本と今日の日本が、余りにも発展したことに 彼は驚いたのです。奥さんにいろいろなことを言って連れてきたはずなのに、自分がしゃべった日本と現実に見た日本 が、余りにも近代的になっている。しかも、何もなかった、六階建て以上のものが全然なかったものが、今やアメリカに匹 敵するような高い建物もある。そういうふうに彼は、自分が奥様に言った日本と今の現実の日本とは、余りにも急成長し ていることにびっくりした、そういう述懐をしたことがございます。
それと同じように、我々はふだん気がつきませんけれども、今大谷先生が私に主婦感覚でとおっしゃいました。私も子 供のときには、少なくとも今のような電化生活は考えられませんでした。大変失礼ですけれども、私なんかも忙しいので、 夜セットしておきますと、朝、御飯が炊けています。洗濯も全自動で乾燥までできてしまいます。あらゆる我々の日本の 社会水準というものが今日大きく変わってきたことは、私は、日本のすばらしい国民性、勤勉性、努力性、そして外国の 開発した技術でも、日本へ持ってきて、それを加工して我々の日本製に変える、この日本の国民の適応性の範囲の広 さ、こういうものも考えますと、本当に今日の日本、ありがたいことだという感謝とともに、果たして今まで二十世紀にでき た財産を、我々今生きている者が今度子供や孫の代に、二十世紀はあの人たちがやった、ただ二十一世紀はあの人た ちは何をしたんだろうなと、こう思われるのでは困る。
そういう意味で、先ほども水準を申しましたけれども、私たち日本人の生活水準、社会資本整備をどこまででやめるの か、また伸ばさなければいけないのか。お金との相談ですけれども、私は、そういう意味で、日本の国土づくりというもの を、基本線をつくっていきたい。
私が大臣に就任して以来、二十一世紀の国土づくりのグランドデザインを示したいと言ったのはそこにあるわけでござ いまして、理想は高くあっても、現実の財政上からは、一段飛びで、十段飛べなくても、一段ずつ上がっていくということを 示すためにも最終のグランドデザインが必要だということを私は言い続けたわけでございますので、それに一歩ずつ、先 生方の御意見を拝聴しながら、そのグランドづくりの基本にさせていただきたい。きょうの土地収用法の改正法案もその 一歩であるということを申し上げたいと思います。
○大谷委員 ありがとうございます。理想的な像をつくって、そこに向かって、この委員会を通じ、議論を通じ進んでいく という、そのグランドデザインをつくるのが初代国土交通大臣としての大きな役割なんだという抱負だったというふうに思 います。
そのグランドデザインの形、色というものも大事ですが、そこに向かっていくときの優先順位なりなんなり、これを事業に つけていかなければいけないわけですよね。きょうの議論の中では、大臣、集中的にこの事業というふうに決めて、その 事業が本来ならば十年かかるところを五年でとかいうような形で、時間軸の中でコストダウンを図っていくような方法とか いろいろあるというふうに言われました。
大きく分ければ二つだと思うんです。一つは、効率性というものが今まで以上に求められている。そして、もう一つは、 いわゆるこの土地収用法にかかわることですが、立ち木トラスト運動や一坪運動というものは、ある意味、行政がひとり よがりに今までつくってきた、明治時代から続いていますからね、つくってきた今の事業の計画というものに限界が来て いるんだ、そこにいわゆる住民合意、住民参加というものを入れていく。
この二つが大きなそのグランドデザインに向かっていく歩みの中で必要になってきていることなんだなというふうに思い ますが、そこはお互い、大臣と議員である私が共有しているかどうか、確認させていただいてよろしいですか。
○扇国務大臣 私は、大谷先生の御質問と今までの御趣旨等と同じ土俵の上にのっていると思います。ただ、その方 法論が、お互いに政党があったり何かして違う方向で、到達点は同じでもそこへ行く経路がAルートもあればBルートもあ る、そういう違いはあると思いますけれども、大谷先生がるる今まで御質問いただいた中でも、私は、その到達点、目指 すものは同じ部分が多々あると思っております。
ただ、そのときに、少なくとも私は、今までの、先生も今明治時代からのとおっしゃいましたけれども、本当にこの法律 が三十年間も改正されなかったということ自体考えても、時代の変遷とともに、やはり変わってきた、またそれに適応す るようなことをしなければ、先ほど私が申しました、限られた予算の中でどの点に到達するかということを考えますと、多く の皆さん方の御意見をある程度集約しなければ、百人いれば百人意見が違うのは当然でございます。けれども、ある一 点で皆さん方の意見を集約して、そしてより多くの皆さんが共有できる、あるいは共感できる、そういうものを積み上げて いく、それが私は今回大事なことだというふうに考えて、この改正案の中でも、多くの皆さん方の意見を聞くと。
ですから、事業認可するまでの話し合いの部分が今までよりもむしろ長くかかるかもしれない、けれども事業認可して からは一気に事業をさせていただく、そういう今までと違った、一番最初を大事にする、そういう意味で今回この法案の改 正に当たったということは、御認識賜りたいと存じます。
○大谷委員 その辺は認識をさせていただいております。大きな公共事業をつくっていくシステムの中で、土地収用法 のある位置づけであり、また、そのために、この土地収用法がそれなりに公共事業の中で役割を果たすように、今樽床 先輩の方から出ましたけれども、その上流段階を大事にしていくということで認識をさせていただいております。
この効率性、住民合意というものの重要性を、お互い方法論は違えども認識をしていることでいえば、少し気になるの が、例えば道路や港や飛行場というものは、大体、一九五〇年代の後半か六〇年代の前半にできた整備緊急措置法と いうような名前のついた法律を根拠にして五カ年計画等々含めてつくられていっている。そんな中、本当にこれが、目的 だけを何かずっと、五〇年代後半から二〇〇一年の今日まで、目的、目標というものを一部改正という名のもとに変えて きて、どんどん何でもできるようになってきてしまっているような気がする。要するに、緊急性というものが、ある意味、当 時に比べたら変わってきているというふうに思うんですよね。
そういうことを議論していかなきゃいけないというふうに思うんですが、そのグランドデザインに向かっていく中、当然、A の道とBの道と、もしかしたら政党の関係の違いもあって、こっちの方が効率的だよという、言い方は違うにしても、この 緊急性というのは今見直していかなきゃいけないですよね。どうでしょうか。
○扇国務大臣 大谷先生がおっしゃることも、私も同じ意見だと思うんですね。
それはなぜかといいますと、少なくとも公共工事というもので、あるいは緊急性というもので、私があると言うなれば、あ るいは緊急経済対策の中でも、これは森内閣のときに言われたことですけれども、その四つ目に都市基盤整備というの があるわけですね。その都市基盤整備を、では小泉内閣になってどうするかということで、都市再生本部というものを内 閣につくった。都市再生本部をつくったのは戦後初めてでございます、内閣に設置したのは。
その意味でも、私は、少なくとも、今の緊急性ということから考えれば、財政難の中で、私が二月から四月まで全国地 方懇談会を開いた意味はどこにあったか。
それは、例えば九州なら九州を、ブロック単位一つ、九州ブロックという考え方で、今私が言いました公共工事の優先 性、どこに港をつくった方がより経済効果が上がるのか、あるいは新幹線を先に通すかわりに高速道路は後にするのか とか、そういういわゆる工事の順位、公共工事のあり方そのものも、私が決めるのではなくて、そのブロックごとの皆さん 方、これは、今回、私、日本を十のブロックに分けて全知事さんあるいは政令指定都市の市長さん、財界と会いましたけ れども、そういうブロックごとの皆さん方で、公共工事の順位なりあるいはそのブロックでの経済効果のありようというもの をぜひ地域から出してください、地域でお決めください、それが私は二十一世紀の公共工事のあり方ではないかと。そう いう意味で、私は、国土交通省としては今までと違ったやり方。
ですから、全国歩いてみますと、とんでもないところに港があるけれども、その港と道路がつながっていない、主要道路 に入っていない、そういうところも、地図の上に載せてみますとわかるんですね。そういうことが、今までは運輸省、建設 省という役所の縦割りで、その連携の政策がなかった。そういう意味で、私は、これからはそういう総合的な連携のない 事業は一切することはならない、そういうふうにみんなに言ってあります。それが、今までの運輸省、建設省とかの縦割 りと、今度国土交通省になったこの一つの役所との違いであります。
地方の皆さんにも言いました。今までは、あっちの役所、こっちの役所に行っていただいたけれども、国土交通省になっ たらワンストップサービスですよ、うちへ来てくださいと。地方懇談会も利用してください、地方整備局も利用してください というふうに申しましたので、それが今までとこれからとは違うところだろうと思います。
○大谷委員 ありがとうございます。大体住民合意と効率性の重要性を確認できたところで、ちょっと具体的に、住民合 意と効率性についての議論をさせていただきたいというふうに思います。
大臣も本会議の質問で、木曜日、パブリックインボルブメントという単語をお使いになられました。この御定義というもの も役所の方からいただきたいというふうに思うんですが、要は、構想、計画段階から、なるべくその地域の市民、そして広 く言えば国民という普通の人たちを、納税者かな、市民を計画段階から巻き込んでいって、みんなが納得できるような、 合意ができるようなものをつくっていこう、今までとは違って、それがあってこそ初めて、そのプロセスが質の高い公共事 業という結果を生むんだというふうに思うんですが、国土交通省の持っているPI、パブリックインボルブメントの定義という ものを、ぜひともまず最初にお示しいただきたいというふうに思います。
○風岡政府参考人 パブリックインボルブメントですけれども、道路事業等で既に試行の段階ということになっておりま す。
国土交通省としての、ちょっと今持ち合わせておりませんが、基本的な考え方は、まさに先生御指摘をされましたよう に、公共事業の計画あるいは構想段階から、従来は行政のみの判断で実施をしてきた、あるいは行政が決めたものを 見せるという考え方であったものに対して、国民の声、地域の声を受け入れて、必要であれば計画に反映する、これによ って行政と国民とが一体として公共事業を実施する仕組みだ、このように考えております。
○大谷委員 僕もそのように考えております。
一点だけ今の局長の答弁の中で気になったのは、必要であった場合は反映するというのではなく、これを絶対に反映 しないと、後でまた、土地収用法が今大体年間二百件ですけれども、何百件もふえていく、行政コストがかかっていくと いうふうになると思いますので、ぜひともそれは、必ず反映をしていくのがPIなのだというような認識を持っていただきた いというふうに思います。
本会議の中でも何個か、聞いたものを指摘させていただき、大臣の方から、いや、建設省時代からこういうふうにして やっているのだよというのが出てきました。例えば盛岡の方の国道であったり、島根、鳥取の方の国道九号線であったり するようなものを、住民参加のもとで、広げるのがいいのか、バイパスをつくるのがいいのか、バイパスなんか要らないの か、そんな議論をしてきたというのがありますし、また、広域道路に限ってだったかな、住民参加をするためのガイド指針 というものを、多分本省から整備局の方に、当時は建設省だから整備局と言わなかったですね、建設局の方にお出しに なられたというふうに思うのです。
これからPIの重要性を認めるならば、具体的なPIの、パブリックインボルブメントの実験的試みみたいなもので代表的 なものを一個、二個でもちょっと教えていただけたらというふうに思うのですが。
○大石政府参考人 今先生の方から御紹介もございましたが、例えば地域の交通渋滞状況を緩和するために、現道を バイパスするのか、あるいは拡幅するのかといったような対策手法が考えられるわけでございます。その際に、地域づく りの計画と整合をとる必要がございます。バイパスにいたしましても、北区間をとるのか、あるいは南区間をとるのかとい ったようなことがございます。
これにつきましては、私たちも、交通処理上の問題、その道路が当然持つべき機能を有する道路としてつくらなければ なりませんので、そういった主張はさせていただきますが、あわせて、今先生からもお話がございましたように、当該地 域を今後地域の方々がどのようにつくり上げていくのかというものに貢献できる道路でありたいということから、地域の皆 様方との選択をさせていただくというようなことを進めております。
すべての道路でこのようなことをやっておるということではございませんが、道路の種別に応じまして、道路の機能に応 じまして、対象とする範囲、あるいはお聞きする対象の、例えば線形、機能まで聞くのか、ルートだけの問題なのか、あ るいはそれ以外の問題なのか等々をしんしゃく、判断しながら多くの方々の御意見をお伺いするということは、実践的 に、大変多くのところでといいますか、ほとんどの道路事業で進めているところでございます。
○大谷委員 後でちょっと議論するのですけれども、道路整備緊急措置法なんかは、最初は、要するに足りないから道 路網をつくっていこうと。いまだに足りないから道路網をつくっていこうなのですけれども、それがだんだん最近は、自動車 から歩行者、歩行者から地域住民も対象にして目的がつくられていっている。ある意味、嫌らしい見方をすれば、目的を ふやして、事業費をとるのに正式な理屈をつくっているのだななんというふうに見る方もおられるでしょう。
だけれども、このパブリックインボルブメントもしっかりやっていくならば、地域住民が計画段階に入ってくるわけですか ら、いろいろなことを道路に求めていくわけですね。だから、結果的に住民の意見を入れてつくった公共事業はすばらしい 道になるのだというのが僕の理屈なのです。
ですから、ある意味、少しややこしいことになるのじゃないかなというような構えでもってこの住民参加、住民合意という ものを見るのではなく、実は、理屈とするならば、この緊急措置法が改正されるごとに、目的が、対象となる人が、分野 が大きくなっているのと同じ理屈で必要なのだよというふうに、ぜひともくっつけて考えていただきたいなというふうに思っ ているのです。
今、具体例は局長の方から余り出ませんでしたが、努力をしているのだ、実験的な試みをしているのだというふうな回 答があったというふうに思います。今道路局長が、いつも、どこへ行ってもここの委員会では主役になってしまっているの ですけれども、港でも構いませんし、空でも構いません、何だったら治水でも構いませんので、政策局長の方から、具体 的に、これから省としては大体こんな段取りでパブリックインボルブメントを制度的にこの事業計画に組み込んでいくよう な構想を持っているのだというような前向きな方向性、ないはずないですよね、いただけたらというふうに思います。
○大石政府参考人 まず私から、道路の例で御説明申し上げたいと思います。
現行の五カ年計画、平成十年度からスタートいたしておるものでございますが、この五カ年計画をつくりますときから、 パブリックインボルブメントという手法を用いさせていただきました。私たち、五カ年計画に盛り込みたい内容をキックオフ レポートという形で取りまとめさせていただきました。これを広く公表することで、多くの国民の皆様方の御意見をお伺い するということをやり始めたわけでございます。
その内容につきまして、地域の方々から、新たにつくることとなる道路整備五カ年計画について、盛り込むべき内容、 御要望等をお聞きするということにいたしました。繰り返し種々の方法で御意見をお伺いしましたが、延べ十三万人の 方々から御意見をお伺いして、それを五カ年計画に反映して、現在、その方針のもとに進めさせていただいているという ことでございます。
しかしながら、これは五カ年計画、長期計画でございますので、具体的に一つ一つの路線を事業採択していく、あるい は事業を進めていく際には、その後、それぞれの路線におきまして、先生の御質問の中にもございましたが、事業評価、 BバイC等の評価をやりながら、それを公表して、この道路を整備することによってどれだけのベネフィットが出るか、それ はコストに対して何倍なのかといったようなことを公表させていただくとともに、このバイパスあるいはその道路整備が地 域にどういうインパクトを与えるのかといったようなことにつきましても、我々のわかる範囲で整理して公表させていただい ているということでございます。
それから、先ほど先生からお話がございました、例えば先ほど私が申し上げた例で申し上げますと、拡幅でいくのか、 北側でいくのか、南側でいくのか。道路というのは、地域の、それぞれ住んでおられる方々に極めて大きな利害関係の 変化をもたらすものでございますので、地域の方々にとって、中で利害対立が起こることが多うございます。北をとると得 をする人、南をとると損をする人というようなことになるわけで、私たちもそのことの混乱を非常に恐れるという時期がござ いました。
結果として、行政側でベストの案をつくって、それを示すのが私たちのやり方だということでやってきたことがあったわけ ですが、どうもそれでは役所の中でどういう作業をしているのか見えない、不透明だ、アカウンタビリティーが足りないと いったようなことがございましたので、私たちも、冒険ではございましたが、むしろその過程を明らかにして、地域の方々 の中の矛盾も一緒にそこで明らかにさせていただく中で一つの方向を見出していただくというような手法が定着し始めて おります。これは、そういうことをやらせていただいて、我々が長い間危惧しておったことがむしろ杞憂だったということが わかって、大変よかったなというように思っています。
いずれにいたしましても、着手いたしました事業が円滑に進むということが重要でございますので、こういった手法を今 後も多用させていただきたいというように思っています。
○川島政府参考人 次に、港湾について若干御報告させていただきます。
まず、五カ年計画、こういう長期計画を定める前に、そもそも二十一世紀について、港湾としていかにあるべきか、こう いう議論をする必要があるということで、一年間かけてやってまいりました。
大臣が行かれたそのブロックごとに、さらに密接な関係者に集まっていただきまして情報交換いたしました。かつ、そ の結果はインターネットで公表しまして、さらにアンケート票をお送りするということで、広く国民の意見をお聞きしたところ でございます。また、それを取りまとめた後におきましても、各地方ブロックでその報告について意見交換を、今現在十ブ ロックで順次開催しておるところでございます。
これは国のレベルでのビジョンでございますが、港湾につきましては、地方分権の進んだ形になっておりまして、港湾 の計画は各港湾管理者、地方公共団体が定めます。現在、各地方公共団体におかれまして、いかにして住民の意見を 港湾計画に反映するか、港湾審議会があるわけでございますが、その前段階でいかに意見をお聞きするかということ で、いろいろなアンケートをとっておられる港湾管理者もおられますし、構想を固める前に、前広に説明会をして意見を伺 う。そういうことを港湾計画の策定作業に反映した上で、各界の代表を集めた中央港湾審議会で計画を策定すると決め ております。
私どもも、できるだけ国レベルあるいは港湾管理者のレベルでこういうパブリックインボルブメントを進めていくことが大 事だというふうに考えております。
○風岡政府参考人 パブリックインボルブメントにつきまして、所管事業全体でどういう取り組みをするのかということか と思います。
このパブリックインボルブメントにつきましては、これはやはり計画段階からの住民の意見の反映、そういう手法の一つ ということになるわけでございます。もちろん、そういったためには、それだけではなくて、収用法の議論にもありましたよ うに、公聴会を開催するとかあるいは事前の説明会をするとか、いろいろな手法があるわけでございます。私どもとしまし ては、やはりこれからは、そういった計画段階での取り組みというのを重視する行政というものを当然展開していかなけ ればならない、このように考えております。
したがいまして、道路の方の実例というものも今紹介がありましたけれども、こういったものの実績というものも十分勘 案しながら、所管事業全体として、個別法令に基づく計画の策定に当たって、ある程度整合的な取り組みができるように 検討していきたい、このように思っております。
○大谷委員 ありがとうございました。危惧していたものが杞憂だったという非常に名言を言われまして、私も感動をい たしました。
本当に、事業計画をつくっていくときに、市民も責任を持つ立場にしてしまうということは、僕は大事だというふうに思う のです。
これはほとんど公益性と主権の闘いですから、それはもう自分の家の前に大きな道が通ったらだれだって嫌です、僕だ って嫌です、局長だってきっと嫌だというふうに思います。そこで、どれだけ自分がわがままなのか、絶対我慢できない 部分がどこにあるのかというようなことを考えるというためにも、何らかの形でその地域の方と議論をしていく場をつくる。
そして、決めたときには、やはり西側の人は、東側に道ができるから東側の人には悪いな、しかしながら、これでいいと 言ってしまったからには、何かあったときには責任を持って、同じ地域の人として、説得ということはなかなか地域住民同 士でしにくいのかもしれませんが、その計画を決めた責任ある市民というような自覚を地域の市民の方が持ってもらえる ような、そんな仕掛け、仕組みをしていくことによって、大分、今までもめている部分をなくして、行政コストが下がるんじゃ ないかなというふうに思いますし、道をつくっていく大きな目的というものも広がっていくし、それは我々市民にとってすれ ば、道の付加価値というものが高まっていく、地域の活性化につながっていく、地域の潜在能力を高める刺激剤になると いうふうに僕は考えます。
ぜひとも何らかの形で制度に入れていっていただきたいのですが、これは初代国土交通大臣としては結構大きな役割 であり、もしかしたら初代国土交通大臣しかできないのかなというふうに思っています。
具体的には、例えばドイツなんか、法律に定めて、計画段階から説明をしなければいけませんよという法律がありま す。我が国でいえば、それに値する法律が行政手続法なんですけれども、これは向こうの中では、ドイツ語で何て言うの か知りませんが、日本語の本を読むと行政確定手続なんて書いてあるのですが、それが入っていて、法律で説明をしな きゃいけないのですね、最初にこんなのをつくろうとしている、皆さんどう思いますかという意見を。もめたときには、あな たちゃんと説明していたのですか、説明していなかったのですかと。成田空港の問題でいえば、説明していなかったから 当時その計画をつくった人が悪いという判定が出てくるんです。
これは、国土交通省だけで決められる法律ではないのですけれども、ぜひともそんなものを前向きに考えていただきた い。それに対しての、いやそんなものが急にできては困る、しかしながら必要だとか、少しコメントを、大臣でも局長の方 からでもいただけたらというふうに思います。
○風岡政府参考人 先生御指摘のように、ドイツの計画確定手続、これはドイツはそういう手続になっておりますけれど も、例えばフランスとかイギリスとか、かなり類似のものがあるわけでございます。
このドイツの計画確定手続の取り扱いにつきましては、ただいま先生からも御指摘がございましたように、行政手続法 の制定のときに大分議論になりまして、結果的には、これはとりあえず将来の課題というふうになっております。
そもそもの考え方の問題としまして、計画確定をします、計画が決定しますと、集中効ということでの効果が発生する。
これは、それの計画が確定すれば他の計画の手続をとる必要がないんだ、要するに集中効というものが発生するという 法律構成になる。そういった場合に、責任関係というのでしょうか、本来の計画に基づく官庁の責任と、集中効による責 任、これをどう考えるべきなのかというような基本的課題もありまして、なお検討課題ということになってきているというふ うに理解をしております。
もちろんこれは、国土交通省だけの取り組みではなくて、先生御指摘のように国全体で取り組むべき課題ということ で、私ども、公共事業の大宗を占める役所として、この問題についても真剣にいろいろ議論をしていきたいというふうに思 っております。
それはそれとしまして、それでは、それまでの間、一切そういう計画面での住民参加みたいなことが行えないのかとい うことだとすると、先ほど申し上げましたように、基本法令について、パブリックインボルブメントも含め、公聴会も含めて、 そういったものについて、所管行政の立場で、現行法の運用に当たってできるだけそういったものが整合的、統一的に行 えるような努力は一方でもしていきたい、このように考えております。
○大谷委員 言うはやすし、やるはかたしでございまして、私なんかよりか、本当に現場で苦労されている大臣、局長さ んの方は大変かと思いますが、方向性だけは確認いただけましたので、そのパブリックインボルブメントの方向でぜひと も頑張っていただきたいというふうに思います。
次に、効率性について質問をさせていただきたいのです。
大きな意味で、需要予測というものがいつも出てくるのですけれども、本会議場でも質問させていただきましたが、これ は多分、GDPの成長率等々によって何らかの相関関係が需要にあるからということで、何か係数、数式があって、それ に合わせてできてきているのかなというふうに思います。
もちろん、港や道路や飛行機等々で、計算の仕方や事業によって内容は違うというふうに思うのですが、一番聞きたい ことは、昔と今とでは多分計算方法は違うんだろうなというふうに思うのですよ、これだけ時代が、価値観であったり、国 際化する社会であったり、少子高齢化であったりするわけですから。
一番簡単な例でいうと、僕の住んでいる地域に四国と本州をつなぐ橋ができました。需要予測というものがありました。
どうも、そうじゃないどころか、下方修正どころか、反対の現象が起きている。
地域の活性化ということであの橋はたしかかかったような、大きな目的としてかけられたというふうには思っておるので すが、反対に、向こうの地域の人が、都心にこれは近づいたぞということでどんどんこっちに来る。週末遊びに来れば、こ っちでどうも仕事があるらしいぞということで、地域から都心に来て都心で仕事をしてしまう。この方が楽じゃないかと。い ざ帰ろうと思えば、二時間で大阪から四国のどこどこまで行けるんだからというふうになっている。まさに価値観という か、経済構造の違い、社会構造の違いから、高度成長期とは絶対に違う形での相関関係ができているわけですよね、 成長率等々と需要予測に対しては。
その辺、どんなふうに違いを見きわめて、どんなふうに今割り出そうとしているのか、教えていただけたらというふうに思 います。別に、道路に限らず、何でも結構ですが。
○大石政府参考人 道路の需要予測、長期計画をつくります際に、あるいは個別の路線の事業採択等を行います場 合に需要予測を用いております。
マクロの需要予測をつくりまして、多くの全国の道路の交通量の伸びでありますとかいうものを予測して、五カ年全体 の中で入れるべき道路計画を考えるというようなものと、それから、個別の路線を採択する際に、先ほど申し上げました ように、BバイCを計算する際には将来交通量が必要になるわけでございます。当該地域の発展状況やバイパス効果等 を考慮しながら需要予測を行うといったような手法を入れさせていただいております。
当然それらに対する検証が必要でございますが、例えば、現在の五カ年計画の全体の交通量でございますが、これは 平成十年が初年度でございますので、十年度におきまして、予測値、これは全体で、乗用車、貨物車計で七千六百億 台キロという予測をさせていただき、現在の実績値が七千四百六十億台キロという実績になってございまして、ほぼ予測 どおりの交通量というようになってございます。
しかしながら、今後は、さらにその精度を上げるために、目的別や品目別に、交通機関分担により、より精緻に分析い たしまして、それぞれの交通機関の将来的なニーズを把握し、例えば、従来の人口当たりの移動回数の予測は人口全 体で回帰式を持っておったわけでございますが、今後は、性別、年齢階層、就業、非就業別に分析するでありますとか、 あるいは、自動車の機関分担率を計算する際に、従前ですと経年変化のトレンドで分析いたしておりましたものを、地域 別、目的別に交通施設等を考慮して分析、配分するといったような考え方を取り入れることといたしておりまして、いろい ろな指標を従来よりも二十種類ほどふやして、分析の精度を上げたいというように考えております。
有料道路につきましては、有料道路はまた別に、有料化によります交通の負荷といいますか料金抵抗といったようなも のを考慮しながら、それぞれの路線の交通需要予測を行い、償還計画等を考えながら有料限度額を算出いたしておると ころでございます。
(続き)
|